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第一章 産声

初投稿です! 不定期に更新していく予定です!初心者なので優しい目で見てくださると嬉しいです!!

「おはよ!最近マジで暑いよな。そっちは大丈夫か。元気にしてるか?」


 電話で話してきたのは小学校からの友人の優紀だった。


 優紀は大企業に勤めるサラリーマンで、営業成績はトップクラス。現在も業績が高く評価され、重要なプロジェクトの運営を任されている。一分一秒欲しいにも関わらずすごく優しく、他人思いな奴でいつも俺に電話をかけては心配してくれている。


 だが、そんな心配を俺は、煩わしく思ってしまう。


「まあまあかなぁ。今まで通り普通って感じ」


 俺は少し無愛想な返事した。


「普通って・・・・・・お前さ、そろそろ地に足を付けたらどうよ。歌手なんて夢見てないでさ。みっともねえよ、三十代にもなってまだ歌手目指してニート生活してんの」

 

 向こうも呆れながら言って来る。何かこみ上げてくるものを吐き出す勢いで俺は言い返した。


「うっせぇな。そもそもなんでお前がそこまで心配してんだよ、おかんみたいなこと言いやがって。んなこと言ってるけどな、お前こそどうなんだよ。先週『会社でヘマしたわ~どうしよう』って嘆いてたくせに」


「あのな、俺はお前が大切な仲間で心配だからこうやって電話してんだよ。お前の母さんからも『友也がまた歌手になるとか言い出したから止めてほしい』って頼まれたからなんやで?あんま親に心配かけんなや」


 あいつが、どこぞのババアみたいに説教してきた。


「あいつ、要らんことを・・・・・・」


 小声で言えば、


「なんや?なんか言ったか?」


 あいつが少し前のめりで言ってきた。


「なんでもないわ、ほな」


「あ!待て、まだ話は終わってな・・・」


 あいつがまたなんか言ってきそうだったので俺は即座に電話を切った。正直、鬱陶しくて仕方なかった。


「そういえば、もうあれから十五年か・・」


 俺は古びて少し茶色がかった六畳半の部屋の天井をなんとなく見上げて、大学生時代の記憶を呼び起こしていた。


 俺は大学生時代、優紀と、大学で知り合った雄二、そして中学の時から片思いで勇気を出して誘った幸花と一緒にサークルでバンドをしていた。


 俺はボーカルで優紀はドラム、雄二はギターで幸花はピアノだ。四人で作り上げていた楽曲はどれも学内で大好評だった。学園祭の時は毎年、実行委員からパフォーマンスの大トリを任されるほどだった。


 だが、バンドは就活が始まるとそれぞれの予定が合わなくなり活動は日に日に減っていき、卒業を期に解散した。そして、優紀は大手企業のサラリーマンに、雄二は結婚して二児の父に、そして幸花は有名番組のリポーターとなった。


 それに対して俺は大学時代のあの快感と別れを告げることができずに親のスネをかじりながらパソコンとにらめっこで楽曲制作をしてサイトに投稿しては低評価をされて落胆する毎日を送っている。


「はあ・・・・・・俺には才能ないのかな」


 天井を見上げていたはずの首がガクッと落として床と対面した。そうやって理想と現実のギャップに嘆いていると玄関に備え付けているチャイムが鳴った。


「誰や?タイミングの悪い」


 少し悪態をつきながら玄関の扉を開けると、そこには、幸花が居た。


(え!?なんで居るんや)


 心の中で呟きながら一瞬時が止まったのかと錯覚するほどの驚きに襲われる。


「久しぶり。少しお話してもいい?」


 幸花は気恥ずかしそうに言った。


「あ・・・・・・うん、いいけど、玄関で話すのもあれだからよかったらあがって」


 所々言葉に詰まりながら彼女を部屋にあげた。片思いの相手が何の前触れもなく家に来るなんて思ってもないから彼女を部屋にあげた後でも実感が湧かず、部屋に沈黙が流れる。


 最初に沈黙を破ったのは彼女だった。


「実は・・・・・・これを渡したくて」


 ゆっくりと手提げバックから一枚のコピー用紙を差し出してきた。それは、『発掘!才能の原石たちをトレジャーせよ!』と大きく書かれたポスターだった。


「え?これって・・・・・・あの番組?」


 やっとのことでフリーズしていた頭をたたき起こすと、


「これに・・・・・・出てみない?」


 言いたいことを言えたかのように少しホッとした表情で彼女は言った。


「え!?俺が!?こんな有名番組に!?」


 やっと再起動したはずの頭がクラッシュしたかのようにまたフリーズする。


 少し経って、その理由を聞いてみると、どうやら今回は音楽関係を取り上げるのだがそのMCに彼女が推薦されたというのだ。そして今回の番組のゲストとして大手音楽会社のスカウトマンが登場するという。これは好機だと考えた彼女は俺に参加を勧めたというわけだ。


 しかしそれには妙な点があった。実は俺は彼女にまだ歌手を目指して楽曲を投稿していることを話していなかったのだ。そのことを聞いてみると彼女はスマホ画面を慣れた手つきで操作した後俺に見せてきた。


 そこには俺の今までの楽曲リストが映し出されていた。


「え・・・・・・これって・・・・・・」


「これ、友也君のよね?優紀君が教えてくれたの。歌手・・・・・・まだ目指していたんだね」


 俺のみぞおち辺りを見ながら答えた。俺が反応に困っていると、


「いい曲だね。私この曲好きなんだ。だから今日、誘ったの。番組出演」


 彼女は笑みを浮かべながら答えた。


(あいつたまにはやるじゃん)


 いつも鬱陶しく思っていた優紀のことを心の中で褒め称えた。だが、それと同時に不安が俺を襲った。


 俺は今まで多くの曲を出してきたが、それが世間で評価されたことは一度もない。そんな曲しか作れない俺に番組に出る資格はあるのかと。


 不安気な表情をしていたのが悟れたのだろう。応答に詰まっていると、


「みんなに知ってほしいの、あなたの魅力を」


 気合に満ち溢れた顔で彼女は言った。それを見て、俺は、


「え?」


 そんな簡単な反応しかできなかった。


 彼女はそれを気にすることなく続ける。


「確かに、友也君の曲はネット上では評価されていないかもしれないけど、だからって絶対に売れないって決まってるわけじゃない。番組でもっと多くの人に友也君の曲を知ってもらうことができたら必ずファンは生まれるわ。間違いない」


 なんでそんなに確信できるのかと聞いたら、


「友也君の魅力なら誰よりも知ってるわ。大切な仲間だもん」


 今度はハッキリと俺と目を合わせて答えた。俺は自分の弱い心を恥じた。こんなにも信じてくれている仲間がいるのに自分はどこかで夢を諦めていた。まだ自分の夢を応援してくれる仲間が居ることを再確認した。


 俺の目には大学生時代の頃に輝いていた光が煌々と輝きを取り戻していた。そして、俺の恋心も今までの残火が一気に真っ赤に燃え上がっていた俺の歌手人生がまた一度、産声をあげた瞬間だった。

最後までお読みいただき誠に感謝!! 

初心者かつ初投稿なので文章構成や表現がまだ理解しきれてないので気軽にコメントで教えていただくとありがたいです!!一言でも歓迎です!お気軽にお寄せください。

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