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失敗専門店「ナイスミステイク」

作者: サト愛

とある街角に、一風変わった店がありました。

その名も「ナイスミステイク」看板にはこう書かれています。


> **失敗、買い取ります!**

> あなたの失敗が、他の誰かの幸せを生む。


---

ケンタは、大学生の真っ只中。

最近は試験もアルバイトもうまくいかず、何をしても空回りする毎日でした。

ある日、ケンタはアルバイト中に大失敗をしてしまいます。

大量の注文を受けるべきところを間違ってキャンセル扱いにしてしまい、店長に叱られました。


「なんで俺ばっかり失敗するんだよ…」

落ち込んだケンタは、帰り道で偶然「ナイスミステイク」の看板を見つけます。


店に入ると、中には白髪混じりのひげを生やした店主が座っていました。

どこか優しげな、けれど鋭い目をした男です。


「失敗を買い取る店…ってどういうことですか?」とケンタが尋ねると、店主はにっこり笑いました。


「簡単だよ。君がした失敗を話してくれれば、その失敗の価値を教えてあげる。そして、それを他のお客さんに“役立つ教訓”として提供するんだ。」


「え、そんなことできるんですか?」と半信半疑のケンタ。

「試してみなさいよ。君の失敗にも、価値があるんだから。」


ケンタはアルバイトでの大失敗を話しました。

すると店主はメモ帳に何かを書き込み、しばらく考え込んでから言いました。


「この失敗の価値は“気づき”だね。おそらく君は、確認不足が原因だったんじゃないかい?」


「ええ…そうですね。もっと丁寧に確認しておけばよかった。」


店主はニヤリと笑い、壁に掲げられた黒板を指さしました。

そこにはこう書かれています。


’’確認を怠ると大惨事、けれどその後の学びは一生の宝’’


「こうやって他のお客さんに教訓として提供するんだよ。そして、失敗を引き取った分だけ、君は次に進めるようになる。」


店主が「引き取り料」としてケンタに渡したのは、一枚の金色のメダルでした。

そのメダルには「Try Again」と彫られています。


ケンタが店内を見渡すと、他にもいろいろな失敗の事例が展示されていました。


- 失敗1:「大事な日に靴が壊れた」

解決法→常に予備を用意する習慣を身につけた。


- 失敗2:「試験で全く違う範囲を勉強した」

解決法→計画を立てる重要性を学んだ。


「失敗がたくさんあるけど、みんな次に繋げてるんだな…」とケンタは感心しました。



ケンタはその後、アルバイトで「確認を怠らない」という教訓を実践しました。

驚いたことに、同じようなミスは二度と起こらず、同僚からも「仕事が丁寧だね」と褒められるようになりました。


さらに、「ナイスミステイク」に通うたび、ケンタは他のお客さんの失敗談からも多くを学びました。


失敗を恐れるのではなく、それを成長の糧にすることで、自分がどんどん前向きになっていくのを感じました。


ある日、ケンタは感謝を伝えようと再び「ナイスミステイク」を訪れました。

しかし、不思議なことに店は消えており、跡形もありませんでした。

代わりに、その場所には一本の木が植えられており、木にはこんなプレートが掛けられていました。


> 「失敗とは成長の種。恐れず蒔けば、大きな実を結ぶ」


ケンタは微笑み、その木を見上げながらこう思いました。

「これからも失敗を怖がらずに進んでいこう!

失敗は終わりではなく、次への一歩。

だから失敗は未来の宝物だ」



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