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2月14日

バレンタインなんでね。

チョコレート、甘かったり苦かったりする硬かったり柔かったりする茶色いやつ。

私はこいつのことが好きだ、板チョコをバリバリいくのが個人的にベストだと思う。


わざわざこんなこと考えたりするのも、偏に今日がそういう日だからだろう。

今年で齢が17になる身、淡い思いに身を焦がすのも段々馬鹿らしくなってくる頃合いではあるが何かを考えずにはいられないのが男の性というものであろうか。

今年もいつも通りの1日が訪れ、誰かと誰かの砂糖色の思い出を横目に帰路へ着く他にないのだ。

羨ましくなんて無い、今日が特別で無いだけなのだ。


「おーい!早くしないと置いてっちゃうぞ!」


ふむ、もうそのような時間か。朝の時間は3倍くらい早く動いているような気がして仕方がない、ならば早急に寝床から身を起こすべきだな。




朝は優雅に過ごすのが理想とされているがそれは人によりけりだ。まず優雅の定義が違う、朝から暖かいお茶でもしばくのを私は優雅とは思わない。

私が思う優雅とは何にでも真剣で体が自然と温まるような事を指すのだ。


「ダラダラ喋ってる暇があったら足動かせよ!徒歩圏内だからって毎日毎日寝坊してくる奴に付き合うこっちの身にもなれってんだよ!」


失敬な、もとより足を止めてなどいない。何より君が朝は優雅にとか言い出すから反論を講じなければならなくなったのであろうが、全くこれだから君はすぐ鼻血を出してしまうのだ、もっと冷静さとそれこそ君がいう優雅さを備えるべきなのではないか?

そら、拳を震わせている暇は無いぞ、とうとう校門が見えてきたからな。

ではまた、後ほど会おうぞ。





やはり何というか、浮ついているな。

ここまでこう顕著であると、自分もこうであるのかと恥を見せつけられているような気分になる。

別に諦めろというわけでは無いが、もう少し落ち着きはらって果報を待つことはできんのかと思う。

思いはするが、自分も今期待している。直ぐそこで姦しく談笑している女子が懐からスッと私宛の甘味を与えてくれたりはしないものか、と。

我ながら突飛がすぎる幼稚な願望だ。

しかし、しかしなぁ。





たかが四時間されど四時間、今日の午前は中々にもどかしかった。元より授業を大真面目に聞く質の男では無いが、いつにも増して不真面目であったことは目に見えていた事だろう。口頭注意をしなかった教師には感謝してもしきれん。

昼食の時間であるが、いつも食い気味に弁当を取り出すやつも食べ始めが遅いやつも、皆一斉に席を立ってどこかへ行ってしまった。

彼らは現実を受け止めきれんのだろう、机に無し、登校時の靴箱に無し、もちろん手渡しも無し。なれば縋るは見に行っていない午前の間の幻であろう。哀れな。

その点私は冷静だ、勝負の基本は先手必勝。朝になければもう無いのである。疾風に勁草を知るという言葉もある?では確認してくれば良い、意地でも現実を見ることになるからな。


「よっ、邪魔するぜ」


おう、朝ぶりであるな。

それにしても君も勤勉なものだ、休み以外なら必ずここに来て昼飯を共に食べようとするのだから。今ではすっかりと私もライフワークに組み込まれてしまっている。

ん?なんだその胡乱気な目は。横文字を使うのが珍しいだと?

私とて今を生きる男子高校生だ、タブレットだって使うしインターネットも活用するさ。ゆえに何も可笑しな所なぞは無い、それに珍しいだけであって君の前でも度々使っているだろう。


「そうか?あんま聞いた覚えないんだが?」


まぁ個人とのの会話を逐一覚えている方が不気味というものか、それにしても今日は口数が少なく感ぜられるが体調でも崩しているのか?あまり無理をしてくれるな、大切な友人に何かあっては気が気でない。

現に顔の朱が増したぞ、保健室へ行くか?





理不尽であると思う。

ただ心配しただけなのだが、私の顔にも朱が入れられてしまうとは。女心と秋の空そして男の顔には紅葉が開く。

朱と言えば下校時間になったが一向に会えぬな、お互い部活なぞはしていない故会えないことの方が珍しいのだが。

探すか。

教室無し、グラウンド無し、靴箱に靴有り、屋上無し。

うむ、全てのアテが外れてしまった。メッセージアプリにも既読の二文字は無し、はてさて。


「おっ、こんな所いやがったのか。探したぞ!」


おう、待ち人来ずはお互い様だったようだ。

まさに無駄足であったか、それは失敬。

して、1日が終わるが今日の日付を覚えておいでか?うむ、毎年すまない。義理であると分かってはいるのだが貰えないと貰えないでソワソワしてしまってな。

うん、やっぱりこの味が一番良い。俺の好きな味だ。

む、口調が崩れていたか。やはりこの高揚感には抗い難くな、

どうしても素が出てきてしまう。

夕焼けに感謝をせねばならんな、今の私の顔などとても見られたくはないものでな。


「ふーん、そっか。んじゃあ私もちゃんと感謝しとかなきゃなんないな。毎年ありがとうございまーす」


小声で何か言ったか?言ってない、そうか。君がそういうならばそうなのだろう。

では今日も一日お疲れ様、帰るとしようぞ。


「来月には3倍返しにしろよな」


無論抜かり無く、一度たりとも返礼に手を抜いたことなぞ無いのでな!


恋愛を書きたかったんだ、恋愛した事ないけど。

来月もちゃんと書くよ。


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