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悪役令嬢に転生した……かと思ったけど、モブキャラの公爵令嬢の方だったので、馬鹿な攻略キャラを教育します!!  作者: 綜奈 勝馬


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第七話 大変よくできました!


「それでは殿下! お勉強をはじめましょー!」


 明けて、翌朝。時刻は午前十時だ。この『わく学』の世界、印刷技術が発達しておらず本なんかは高価な癖に、時計とかはあるんだよね、普通に。しかも、現代日本と同じく一日は二十四時間だ。


「……ああ、よろしく頼む」


 不満たらたら、やる気も無い態度で来るかと思った殿下だが、私の言葉に素直に頷き椅子に座ってらっしゃる。あれ?


「……素直ですね、殿下」


「……その……お前が色々と、俺の事を考えて動いてくれているんだろう? なら……俺もお前の言う事を聞いて見ようか、と思っただけだ」


「……」


「……なんだ?」


「デれた?」


「デレ!? な、なんだ、それは!」


「今までツンとしていたキャラが、急に甘えだしたり素直になったりする現象です」


「言葉の意味を聞いているのではない!! べ、別に俺はデレてなど……!」


 そう言って顔を真っ赤にする殿下。


「はいはい。それじゃあまあ、お勉強を始めましょうかね~」


 殿下を軽くいなし、私は持って来た一冊の本を開く。子供には少しだけ難しいであろうその本に、殿下は視線をちらりと向けると詰まらなそうにそっぽを向いた。


「……歴史学の本か」


「歴史は嫌いですか?」


「嫌いではない。この国の歴史はそれ即ち、王家の歴史だからな。誰だって自分の先祖に興味が湧かない訳がないだろう?」


「まあ、そう言われればそうですね。じゃあ、なんでそんなに詰まらなそうなんですか?」


「一度読んで、暗記までしている本だぞ? 今更読んでも詰まらんだろう」


 あー、まあ、確かに。一遍読んだ小説にしても、二回目読むのは覚えてるから一度目くらいのドキドキ感は――


「……待ってください」


「どうした?」


「この本を……読んだ?」


「読んだが……有名な本だろう? 王宮図書館にもある」


「……覚えた?」


「……覚えるだろう。興味のある分野でもあるし」


「……七歳児が?」


「読んだのは五歳の時だが」


「……」


「……」


「……は」


「は?」


「はぁあああああああああ!?」


「うお! な、なんだ急に! 奇声など上げて!?」


 いや、上げるだろ! これ、大人でも読むの難しいと言われてる本だぞ!? それを五歳児が読んで、しかも内容を暗記しているだと!?


「……その様に驚く事か? 王妃様に申し上げたら、『国王になる方なら当然です』と言っていたが……」


「……マジか」


 王妃様が最高にポンコツではないと仮定すれば、この本を読んだ子供を褒めるでもなく、『当然』とするのは……うん、ネグレクト、ぱないです。


「いや、殿下! それ、凄いです!! 凄い事です!! この本、大人でも読むの難しいですよ!! それを五歳で読んで、しかも暗記してるって! 凄いじゃないですか、殿下!!」


 手放しの賞賛を殿下に送る。いや、マジでこれは凄い。っていうか『わく学』、こういう所だぞ? こんな基礎スペック高い殿下になんであんなポンコツ王子させるんだよ! もう少しこう、匂わすぐらいはしろよ! あのゲームでの殿下、マジでただの俺様キャラだったんだからな! 学園モノなのに成績の描写とかもねーし、殿下のストーリー! んっとに、乙女ゲームのなんたるかを分かってねーな!


「……褒め過ぎだ。そんなに……大したことではない。王になる以上、これぐらいは――」


「ストップ」


「――出来て……なんだ?」


「殿下、殿下の為された事はとんでもない事なんです」


「そんな事は……」


「そうなんです! 別に、『俺、マジでスゲーだろ!』と自慢をしろとは言いません。言いませんが、もう少し誇って良いですよ、殿下は」


 そう言って、私は満面の笑みを浮かべて。




「――王妃様が褒めてくれないなら、私が褒めて差し上げます。殿下、貴方は凄い!」




「っ!!」


 殿下の目が大きく見開いた。まるで、信じられないものを見る様なその目に、私は優しく語り掛ける。


「この本が五歳で読めるのは、凄い事です。内容を暗記するのも、凄い事です。殿下は、もっと誇っていい。賞賛を浴びていい」


「……凄い……事、なのか? これぐらい、誰でも出来る事では……無いのか?」


「これを国中の五歳児が出来るなら、この国は世界一の大国ですよ」


「……でも……俺は、王子だし」


「王子の前に五歳児でしょ?」


「……」


「……国家の為に犠牲にしなければならない事、きっと沢山あります。私だってそうです。その代わり、私たちは何不自由のない生活を送っているのですから」


「……そう、だな」


「でも……褒められる権利は誰にだってあります。王子だろうが、公爵令嬢だろうが」


 だから――私は、彼に対してこの言葉を贈ろう。




「――大変、よくできました。凄いです、殿下」




「……ふん」


 そう言って、そっぽを向く殿下。可愛げのないその態度だが……まあ、許してやろう。


「……お前になんぞ、褒めて貰っても……別に嬉しくない。なんだ? お前は俺の母上か何かか?」


 耳まで赤くしてそんな事を言う……がきんちょに。


「あれれ~? 殿下、ちょっと涙ぐんでませんか~? あれ? あれあれ~?」


「な、涙ぐんでなんかいない! っていうかな? お前、そういう所だぞ!? 普通、気付かないフリをするだろうが!!」


「と、言う事は……やっぱり、泣いてたんですか? 褒められて嬉しくなったんですか? やだー! 殿下、お可愛い事で~」


「本当に可愛く無いやつだな、お前は!!」


 完全に殿下がキレるまで、私は楽しく殿下をイジリ続けた。





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― 新着の感想 ―
[一言] 私もこんなかわいいおうじさまいじりたーい(*´∇`*)
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