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悪役令嬢に転生した……かと思ったけど、モブキャラの公爵令嬢の方だったので、馬鹿な攻略キャラを教育します!!  作者: 綜奈 勝馬


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第六十二話 成功のカタチ


「……だ、駄目なの?」


「いえ……アリスさんが良いなら良いですけど……なんていうか……本当に悪役のする事と言いましょうか……」


「……まあ、真っ当な方法じゃ無いよね」


 だが、この方法自体は悪い方法ではない。まあ、『悪の経営術』と言われればその通りなんだが。


「……しかし、アリス様? そこまで巧く行くのでしょうか?」


「どういう事?」


「何を売るかも決まっていない状態でこう云うのもなんですが……その、そんなに簡単に行くのか、と……」


 メアリの仰る通り、『お金があれば簡単に商売は成功する!』なんてことはない。無いが。



「別に良いんだよ、巧く行かなくても」



 そもそも、着眼点が違うのだ。


「……え? う、巧く行かなくても良いのですか? で、ですが……それでは、なんの意味があるんですか?」


「あー、ごめん。言い方が悪かった。『最初』は、巧く行かなくてもいいんだよ」


「……最初?」


「最初は安売りで――赤字覚悟で売れば良いんだよ。何を売るかによるけど……そうだね、例えば八百屋だったとするじゃん? そしたら、最初は大安売り、たたき売りで野菜を売って行けばいいんだよ。にんじん、キャベツ、レタス、ピーマン……何処よりも安く、売って行けばいいんだよ。原価割れ上等で」


「……それでは、全く儲からないのでは?」


「そうだよ。でもさ? メアリだったらどうする? 品質が一緒の安いお店と高いお店、どっちで買いたい?」


「それは……当然、安いお店です」


「でしょ? まあ、私達貴族の中では『高い』っていうのもステータスだから一概には言えないけど……でも、一般の庶民はそこまで拘りはないんじゃないかな? 安い方が売れるよ、きっと」


「……それは……そうでしょうね」


「そうなったら、他のお店ってどうなると思う? もし、私達が安売りをしたら、他のお店はどうすると思う?」


「……値段を下げる、ですか?」


「正解。そうなると、当然その店の実入りは減るよね。一日なら良いでしょう。一週間でも耐えきれるかも知れない。でも、その状況が一か月続けば? 二か月続けば? 半年続いた時――」



 ――果たして、その店は『生き残って』いるかしら、と。



「売上的にも……勿論、メンタル的にも」


「「……」」


「……そうやって周りのお店がドンドン潰れた後に、ゆっくり値上げをすればいいんだよ。ライバルの居ない商圏で、商売をすればいい話だよ?」


 なんせ、ネットも無ければ車もない『わく学』世界だ。人々が買うお店、つまり『商圏』が無茶苦茶狭い。皆が買うお店なんて限られているから、もし近くの八百屋なら精々数件程度の話だろう。その商圏の中の八百屋が全部潰れたら、果たしてどうなるか? 顧客の取れる選択肢は二つ、労力をかけて遠い店まで行くか、近場のウチの店で済ますか、そのどちらかしか無いのだ。遠くの店より多少高くても、我慢できる金額ならウチで買うしかない。


「……それって……出来るんですか?」


 エリサの言葉に首肯し――その後、首を横に振る。


「勿論。まあ、流石にそこまではやらないけどね」


 だってきっと、恨まれるし。そのせいで断頭台エンドなんて目も当てられないしね。


「でも、そうすれば価格の決定権を握れるから。価格の決定権を握れれば結構強いよ? 皆、私たちの顔色窺うようになるだろうし……一番良いのは近場の八百屋も全部吸収合併しちゃうのが良いけどね?」



 そして――メアリには言えないが、私の『メイン』はこっちだ。ぶっちゃけ、最悪会社経営は失敗しても良いと思ってる。



「……人は財産だしね?」


 今の私には貴族の知り合いは居るが、貴族の知り合い『しか』居ないのである。そして、貴族同士の争いでは……まあ、味方もいるだろうが、きっと敵も出来る。この『会社経営』で、そう云った『貴族社会』じゃない部分に人脈が出来れば、それはそれで一つの強みになるだろう。そら、吸収合併なんかしたら少なからず恨まれるだろうが……手厚い保障とか給料をだしさえすれば、従業員の皆様は喜んでくれる可能性は高いと思う。『敵』ではなく、『味方』にすることが出来れば、なんかあった時に助けになってくれるかも知れないし。ホレ、よくあるじゃん? 没落した王族とか貴族を、商人が匿ってくれたりする話。目指すはアレだ、アレ。


「……なるほど。そう言われて見れば確かに悪い方法では無いかも知れませんね?」


「でしょ、メアリ? 悪い方法ではないでしょ?」


「ええ。倫理的な所に目を瞑れば……悪い方法ではないと思います」


「まあ、そこはね?」


 正直、何処までやるかの匙加減はちょっと難しい。儲けなくても良いと言ったが、ある程度は儲けたいし。もし没落したらお金、必要にもなるだろうしね?


「……分かりました。そういう事でしたら、私も全力を尽くさせて頂きます、アリス様」


「わ、私も!! 私も頑張りますから、アリスさん!」


「ん……二人とも」


 よろしくね? と。


 そう言って笑った私の顔は――窓に映った顔を見る限り、もの凄く『悪役』な顔をしていた。



『面白かった!』『続きが気になる!』『アリスちゃん、がんば!』『エリサちゃん、不憫……』という方がおられましたらブクマ&評価の方を宜しくお願いします……励みになりますので、何卒!

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― 新着の感想 ―
[一言] 市場破壊、一強多弱にして何が楽しいの(笑)営業努力、経営努力その他努力は必要だけど良心的な店潰してまでやらなきゃいけないとかふざけすぎでしょ
2021/04/10 18:53 退会済み
管理
[一言] アリスちゃんはえげつないやり方として、自分を悪く見せてるけど、商売に限らず生きるという事は根本的にそういう側面あるのだから別に悪い事ではないのよな。 度を越えた搾取体制築いたらそりゃマズい事…
[一言] 問題は、スポンサー父がどんだけ出してくれるかの気がします。 最初は大赤字が続くから心配したら止めるだろうし。成果が出せる寸前で止められて大損だけが残るような。 もし趣旨を説明しても、将来王妃…
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