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悪役令嬢に転生した……かと思ったけど、モブキャラの公爵令嬢の方だったので、馬鹿な攻略キャラを教育します!!  作者: 綜奈 勝馬


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第三百九十二話 アツい信頼、あるいは身から出た錆


 両手で顔を抑え、ベッドの上で起こしていた上半身を折って嘆き悲しむ陛下。あまりにも居た堪れないその姿に、ロッテが肘で私を突く。


「あ、アリス! どうするんですか!」


「ど、どうするって言われても……」


「見て下さい、あの陛下のお姿を!! まるで神なんていないと告げられた聖人か、明日の朝一番の処刑を宣告された死刑囚みたいじゃないですか!!」


「落差が酷いな、おい」


 聖人と死刑囚って。


「……どうしよう?」


 マジで。いや、確かに陛下のこの嘆きの……というより、ティアナ様が『ああ』なったのは私にも責任の一端があるよ? あるけどさ……


「……一度、あのティアナ様の中に眠る内なる獣を解き放っちゃったからね。もう……戻せないよ……」


「なに魔王みたいな事を言っているんですか、貴方は!! 何か方法は無いのですか! 陛下が少しでも気を持ち直せるような策が!!」


「……あるんだったらこんなに胸が痛くならないよ。もう、あの陛下のお姿見ているだけで胸がいっぱいになるっていうか……」


「それはアリスの容量が少ないからでしょう!?」


「おい、それ以上は戦争だぞ、ロッテ」


 誰が幼児体型だ、誰が。と、そこで遠慮がちにドアがノックされて扉が開くと、見慣れた顔が飛び出した。


「……ジーク?」


「ああ、アリス。やはりここに居たのか。エカテリーナ母上から、アリスが父上の見舞いに訪れたと聞いたからな。少し、心配になって見に来たんだ。良かった、間に合ったか」


 そう言って心持『ほっ』とした顔をして見せるジーク。心配って……


「……心配、してくれたの? ジーク?」


「当たり前だろう。愛しいアリス」


 にこやかに笑って、私の髪を一房手に取ってキスを落とすジーク。ちょ、じ、ジーク!? 陛下の前で何をしているのよっ!!


「……父上は殊更にティアナを可愛がっていたからな。ティアナのあの変容……もう、変身か変態という感じだが……」


「変態って」


 酷すぎないか、ジーク?


「……まあ確かにちょっと色ボケはしていたけど……変態は言い過ぎだよ、ジーク。精々、痴女くらいじゃない?」


「……それも十分変態だし、お前の方が大概酷いぞ、アリス。ちなみに俺が言っているのはそういう意味じゃないからな? イモムシからチョウに成長する過程を『変態』というのだ。立派な学術用語だからな? アリスの考えている意味とは違うぞ」


 そう言ってそっと目を逸らして。


「……まあ、変態して出て来たのがイモムシからチョウへ、みたいな変容ならどれほど良かったか、という話ではあるのだが……」


「……言わないでよ」


 これでも責任感じているんだからさ?


「……まあ、そもそも俺がアリスにティアナの事を頼んだのも原因の一つだからな。先程も言ったが、父上はティアナを可愛がっていた。まあ、俺やアレンも愛して居てくれているのは知っているし、父として気を掛けて貰っているのは知っている。知っているが……まあ、異性の子は可愛いというしな。『ティアナが花嫁でどこかに嫁いだら、きっと私は泣いちゃうんだろうな……』と酒を飲むとよく言っていたし」


「……まあ」


 ウチのお父様も……泣くかどうかはともかく、寂しがりそうだとは思うし、転生前の世界でも娘さんを嫁に出すおじさん社員が嬉しそうな、どこか寂しそうな顔でその旨を皆に喋ってたからな。気持ちは分からんでもないんだけど……


「きっと、アリスの事だ。このことに関して責任を感じているだろう。きっと、どうにかしようと思い悩むだろう」


「……そうよ」


 本気で思い悩んでいるよっ! 流石に陛下のあの姿が居た堪れないし……なんとかしたいと思ってはいるんだよ。思っているんだけど……


「……ティアナ様はもう戻らないだろうし……百歩譲って戻っても、陛下の脳裏にはきっと『あの』ティアナ様の姿が染みついているだろうから……もう、記憶を消すくらいしか方法は無いかとは思うけど」


 でもさ? 剣も魔法もない完全乙女ゲームな……まあ、光魔法っていう、ただ光るだけのネタ魔法はあるが、生憎そんな都合の良い魔法みたいな――



「それだ」



「それ? え? どれ?」


 きょとんとした顔で首を捻る私に、ジークは私の目を真剣に見つめて。




「――アリスの事だ。きっと、『もう記憶を消すしか方法がないよ……そうだ! 頭に強い衝撃を与えれば、きっと陛下の記憶を消せる!!』とか考えかねないからな!」



「おい」


 おいっ!! なんてことを言うんだ、ジークは!! 一体、私の何処にそんな暴力性が……チクショウ!! 分かっているよ!! 否定できないのは分かっているよ!! 第一王子にドロップキック、第二王子にリバーブローを叩き込んだ公爵令嬢だもんね、私!! そりゃ、陛下の頭くらいならスパコーンって叩きそうって思うのも分からなくは無いんだけども!! 身から出た錆ではあるんだが!!



「……だから……本当に、間に合って良かった。流石に父上に直接手を出してしまったら、私でも庇いきれないからな!!」



 良い笑顔を向けてそういうジーク。心配って、そっちかい!! 『私を助けに来てくれた!!』って感動した私の気持ちを返せっ!!



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