表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/305

第72話 停滞(後編)

第72話 停滞(後編)


 翻訳の結果、所々文字が読めなかったり、肝心の記述がなかったが、書かれていたのは、ゾンビを作り出す方法(やはりその材料が机の中にあったものだった)、異界との出入口の作り方、それから死者を操る方法だった。


 「これ、どう繋がりますか?」

 福間さんが頭にクエスチョンマークを浮かべながら問いかけてきた。リアルな、そういう顔だ。


 「分かりませんが、ゾンビは死者ですから、作ってこの洋館を襲うように操っていたのではないでしょうか。どこかから出し入れして」

 藍風さんが簡単にまとめてくれる。


 「同意見です。さらにゾンビにする前から操っていれば、死体の回収も自動的にできるのではないでしょうか」

 勝手に集まってくれれば楽だろう。


 「ちょっと待って。操った死体を向こう側にやって、ゾンビかしたらこちら側に出すってのはどうですか?出入口が別々でもいいならできそうじゃないですか?」

 それは、そうだが、そんなことまで可能なのだろうか。まとめてみる。


 「それだとこうなります。どこかで亡くなった方の遺体を、失踪した人なら足が付かないでしょう、それを向こう側にもっていく。それからゾンビ化させて、夜中に窓を覗いたときにこちら側の森に出てくるようにする。毎回ここまで手間のかかることをやっているでしょうか。私達だけでも結構な数を始末したと思いますが」


 「もしかしたら、」

 藍風さんが何か思いついた。

 「もしかしたらすべて自動的に行われているとしたら、向こう側はすごいことになっていそうです」


 「たしかにそうなら、いくら始末してもいなくならないわけです」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 本の内容は先の話し合いで多分繋がったが、何故窓から見ないと現れないのかは記述がなかった。そうしているうちに昼食と仮眠をとっていないことに気づいたので、一旦分かれて眠ることにした。つまり、明日に延期になった。


 起床後、夕食をとってから話し合いが行われた。しかし、進展することもなく、少ないアイデアを出し合って何とか形になった。ここでも地下の部屋については記述がなかった。



 夜中、私と藍風さんは2階から監視。それ以外はゾンビを始末しに外に出た。今日は全体で相手にするようだ。要は、密集して互いを守り合うということだった。福間さんはいつも通りのように、戦いつつも、他の場所の調査にいくようだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 夜、腐臭とともにゾンビが現れた。やはり、本職の人たちは強い。今日は道具を持っていないようだ。



 窓を通してみる場合だけ現れるのはどういう仕組みなのだろうか。今のところ不明だ。いや、それよりも何が目的でそうするのだろうか。多分、建物から人を追い出したいとき、それで、本人には傷を付けたくないときだろうか。誰を、は綾小路氏、あるいはその親族を、誰が、は…。理由は、金銭トラブルだろうか。それにここまでの労力をかけてやっているのだからすごい。金持ちはやることが大胆だ。


 視界の中の4人は、偶に位置を変えながらゾンビを追い払っていた。加減を間違えたときには手足や胴体が飛んでいった。


 窓は依然見たときと変わらず、普通のガラスだった。窓枠や桟もごく普通の木だった。何か仕掛けをするならここだと思っていたが違うのだろうか。他に仕掛けをするならば、どこだろうか。


 途中途中、無線で連絡を取り合い、見る窓の位置を変えていったが、どの窓でやっても同じようにゾンビは森から出てきたし、窓や枠、桟もどう見ても同じものを使っていた。



 その内陽が昇って、ゾンビ達は消えた。大屋さんがゾンビに結んでいた縄は輪だけが残った。だから仮に発信機を着けても、陽が昇るころには取れてしまうということか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ