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第28話 協会員その1(前編)

話中の信仰について間違いがあるかもしれませんが、パラレルワールドと言うことでご容赦ください。

第28話 協会員その1(前編)


 兼ねてから頼んでいた他の霊能力者に会うという話がようやく進むことになった。協会に何人所属しているかは知らないし、支部に何人くらいいるのか、そもそも依頼は月何件来るのか知らないが思っているより多くいても全員がオープンなわけでも暇なわけでもないのだろう。みーさんがコンタクトを取ってくれたが、どんな人なのだろうか。みーさんは人脈があるのかないのかよくわからない。そのことが頭にあったので職場のつまらないつるし上げも適当に流すことができた。忘れたわけでは決してないからな。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 週末の午後、協会の支部に行く前に家事と買い物を済ませ、それからG駅まで電車で行った。昼食を近場のラーメン屋で食べた。ここのラーメンはこの辺のではなく首都の方のスタイルなのでとても気に入っている。食後、支部に向かい扉をノックすると「どうぞー」と間延びした声が聞こえた。


 「こんにちは」

 扉を開けて中に入る。何度か来たことがあったが特に変わった様子もない。


 「お疲れー」

 みーさんはソファに座ってSw○tchを操作していた。ポ○モン新作をしていたに違いない。

 そもそもで、みーさんが何をしているのかわからない。事務仕事もしているようだが、ゲームをしていたのは休憩中だからなのか、協会が成果制なのか、謎だ。依頼を受けることもあるようだし、事務は兼務なのかアルバイトなのかますます謎だ。


 「お疲れ様です」


 「今資料整理しているから呼んできますねー」

 そういったみーさんは奥の部屋に消えていった。緊張する。しばらくしてみーさんとそれから細身の中年男性が現れた。


 「お待たせー。こちらが弦間さんです」


 「こんにちは。弦間満です」

 男性は細身の割には近場で見ると余分な肉が着いていないだけで筋肉質に見えた。私よりも少し背が高い。友好的に見えた。


 「こんにちは、上野良冬です」

 差し出された手を握り、挨拶を返す。


 「まあまあ、お2人とも座って」

 みーさんがソファに私達を促す。全員が座ってからみーさんが改めて紹介してくれた。


 「上野さん、こちらが弦間さんです。えーと陰陽道を基にして怪奇の対応をしていますね。いわゆる悪霊や妖怪退治ってのをメインにしていまして、上野さんの持っている護符や札を作ってくれた人ですね」


 「その節はお世話になっております」

 一回りはいかないまでも年上そうな相手だからというわけではないが敬語を使う。


 「弦間さん、こちらが上野さんです。最近怪奇が感じられるようになって協会に加入したんですよ。今は知都世ちゃんとよく組んで依頼を受けていますね」


 「ちづ、ああ、藍風さんですか。彼女の能力とは相性が良さそうだ」

 この人は藍風さんにそんなに悪い印象を持っていないように感じた。

 「それより、怪奇を感じられるというのはどのくらいなものなのですか」


 「ええと、五感で大体感じることができます。集中すればチューニングできますね」

 見聞きはできるし、嗅覚も触覚も働く。味覚が利くのは硬貨虫が口の中に入ってきたときに分かった。じゃれついているのだろうか。最近動きが活発だ。通常の五感も異常に利くようになることはわざわざ言うこともないだろう。


 「それはすごい。うちのでもそうなるまでに相当の修業を要するのです。それにそこまで見聞きできるのはあまりいない。一体どうやってそうなったのか、秘密でなかったら教えてもらえますか」


 と言っても、何か特にしたわけではない。私はあの日山道から落ちて気絶した話をして、偶然そうなったと伝えた。


 「羨ましい限りと言うか、一歩間違えれば死んでいた訳ですからまあ、真似はできないですね」

 そうだろう。間が空いたのでこちらから話題を振ってみた。


 「弦間さん、陰陽道は詳しくありませんが、どういうものなのでしょうか」

 私は興味と、それから今後の人生で活かせないかを考えて聞いてみた。


 「そうですね、まあ、一言でいえば陰陽五行説、世界は陰と陽、それから五行の木火土金水の変化循環で成り立っているという考えに、密教や新道の要素がミックスされたものです。安倍晴明が有名でしょうか」

 「そう言っても漠然としていますから、明日にでも近場の悪霊を祓うのをお見せしましょうか」


 「是非、お願いします」

 そんなに簡単に見せてくれるとは思わなかった。願ってもない話だ。それから翌日の予定を決めて、弦間さんは資料整理に戻っていった。



 「弦間さんが、というより霊能力者が仕事を見せてくれるのはレアですねー。おねーさんも見たことないですよー」

 弦間さんが奥に行ってからみーさんはSw○tchを取り出して再びゲームをし始めた。

 「まあ、上野さんの能力?は滅多にないですからねー。興味を持たれたんでしょう」

 そういうものなのか。手持無沙汰になった私は資料整理を手伝うことはできるか聞いてみたが、難しそうとはっきり言われた。みーさんがポ○モン新作を勧めてくるのを聞いてから、奥の弦間さんに声をかけて協会支部を後にすることにした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 自宅に帰り、夕食を取ってから陰陽道について多少調べた。読んでもよくわからなかったが、ケガレ、罪、災いの祓いとしずめが中心であるということは分かった。実物をみるのが手っ取り早いだろう。

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