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第244話 怪奇以外の仕事(後編)

第244話 怪奇以外の仕事(後編)


 最近、怪奇関連以外で何か良い仕事はないかと探している。自分の能力を使えば非常に効率よくできて、かつ不定期的にできる物でないと難しい。さらに言うと、一般人の前で能力を使うのは気が引けるから(要するに異端として排除されかねないから)、一人でできるものがよい。


 まず、真っ先に思いついたのは探偵業だった。そもそもそれ自体がかっこいいのに加えて、五感があればターゲットの追跡は容易で、かつ情報の入手も容易だと思ったが、無理だった。追跡すると言っても、車に乗られたら追いつけるわけもなく、こちらが車を使ったら全く能力を活かしきれていない。情報についても、入手するにはターゲットにある程度近づく必要がある。なによりも、証拠が残らない。証拠は後からでよいからするかしないかの判断がしたい、というのはニッチすぎる。


 次に思いついたのも似たようなもので、迷子探しであった。迷子と書いたが、犬猫やお年寄りを探すのを主に考えていた。要は、警察犬が物の臭いをかいで、持ち主の居所を探すあれをやろうとしたのだが、よく考えればあれは訓練された犬が範囲の絞られた後でやることで、簡単にできるものではなかった。あと、あれで探しているのは屍肉の臭いだったような気がする。


 その次も似たようなもので、よくないくすりを持っている人を当てられるのではないかと思った(犬もやっているし)が、危険な領域に足を踏み入れることになるから止めた。警察に任せよう。


 次に考えたのはせどりだった。本の、ではなく、等価の物の中から1番良い物を選んで、それをその値段で(つまり高価にして)売るわけだが、これも商売にするには高級品を扱う必要があって、そういうものは知識がいるのと、大抵適正価格がついているということで諦めた。


 それから、できそうなこととして思いついたのは食のブログ(これは味を当てるよりも表現力の問題で却下)、音を聞き分ける(需要ない)、嘘をついているか当てる(信用がない)など、他も需要と信用がないために、上手く行きそうになかった。



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 それから、収入を増やせないのであれば支出を減らせばよいだろうという、至極真っ当な案を考えてみた。


 まず、食費。食べられる野草が分かれば探すことは容易だ。匂いも強いものなら一層簡単だ。ただし、私有地には入れないし、その辺の草をむしるのにはやや心理的な抵抗がある。結局、遠出をして採取することになる。釣りは普通の人と変わらない。動物なら探すのは容易だ。臭いで分かる。捕まえるには罠やら銃やらがいる。まず勉強するところからだ。


 電気ガス水道も、これ以上節約できなくもないが、一応それほど無理をしなくても現状大丈夫だ。能力を使ってできることは明かりを点けないことくらいで、他はあまり(節約には)役に立たない。


 車はほぼ要らないが、仕事で使うから持っておかないとならない。税金は、払わなくてはならない。通信費用も同様だ。



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 結局、ごく当たり前に節約して、ごく普通に副業をするのが無難であろう、という結論に落ち着きつつある。怪奇関連の仕事で何とか生活できているが、いつまで続くかわからない。そうなったときに、1からサラリーマンのキャリアを積むことは出来ないと思う。結局、今のままで、頼まれた時に手伝うのが一番自分にあっている。そう考えるのは危機感がないのだろうか。それとも、本業一本に絞るべきであろうか。使命感があるわけでもなく、本当に危険なモノを相手にするような戦闘狂でもない。ただ、全員がそうである必要もないから、色々考慮して、その数歩手前で仕事ができるようになろうと思う。ただ、たまに他の仕事をするのも悪くはない。



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