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第231話 前線向きではない(中編)

第231話 前線向きではない(中編)


 明るくなってから私たちは二手に分かれた。ジェラルドとアフマドは引き続きモニタリング(と機械が盗まれないように監視)をするためにゴーストタウンに残った。ジェラルドが「前に一度、呪われた土地だから誰も来ないだろうと放っておいたらコソ泥に盗まれたことがあった」と言っていた。見るからに高価そうだから、目をつけられたのだと思う。交代で睡眠をとったそうだが、それでも大変だっただろう。前線に立たない分、自分にできることをしなければならないし、自分が見つけるか見つけないかで状況が変わるから、と言うのがジェラルドの言い分だった。見習うべき姿勢だ。


 私たちは近くのモーテルまで行った。JJは買い物をするのにそのまま町に行った。私が部屋に入ると、足の長さ位のワニがいた。日本ではまず目にすることはないから、怪奇の類かと思ったが、集中して目を細めるとその像はぼやけた。近くにあった電灯のコードを抜いて、それで外に追い払って、何とかなった。実際に相対するとあの大きさの爬虫類は怖かった。戸締りと水回りを確実に確認してから仮眠を取った。


 このことを再びゴーストタウンに向かった時にJJたちに話した。流石アメリカらしいですねとただの直前にあった出来事として話したつもりだったのだが、アメリカでも普通はないことだと驚かれた。



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 ジェラルドたちと合流して、そこで昼食を食べた。ハンバーガーや炒飯、リンゴや牛乳、フライドチキンなど、テーブルに所狭しと並べられたものを片付けながら、その日は南側からなるべく速く(つまり多少大雑把に)調べ、いくつかの場所に当たりをつけることに決めた。前日に明らかに怪しい場所を見つけられなかった分、何とかする必要があった。私には半ばお手上げだった。


 計器類のリアクションから分かることも残念なことに乏しかった。それでも、どうやら南側にある某人家が怪しいかもしれない(もしかしたら、くらいらしいが)と言うことだった。JJがすぐにそこの家に関するファイルを車から出した。紙媒体で、かつ手書きのものを昔にコピーしたものだったから、読みにくいことこの上なかった。ルーシーが独り言を言いながら要点をまとめていたからありがたくそれを聞いた。


 その家は、白人の夫婦と10代の息子がかつて住んでいたらしい。戦前の記録はないが、恐らく同じ家族が住んでいたと推測されている。トルネードに襲われて、家が半壊して立て直したのだが、職場が受けた被害も甚大で、やがて潰れ、もともと住みにくい場所であったことや他に仕事もないことで(時代なのだろう)一家も、その周りの家も散り散りにいなくなったそうだ。その後、別の土地に住み始めた一家は、仕事も人間関係も、特にこれと言った問題もなく…。隣の家ともそう大差なく、怪奇現象が起こるような、幽霊が出るような大ごとはなかったそうだ。


 以前の住人が引っ越した後、誰かが住んで、何かあったのかもしれない。ただ、新聞に載るような大事件は起こっていないことから考えると、原因となるようなことはなかったのだろう。つまり、とっかかりがなかった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 私たちは日が暮れる前から最南端にある家を探索し始めた。暗くなっていなくても何かあれば分かるだろうという考えのもとだったが、それならそれまでの人たちが見つけてしまっていると思った。一応言ったが、それでも運良く見つかったら得だという考えに押された。何もしないよりはましだったから、適当な判断だったと思う。


 家の内装はどの家もそう前日と変わらなかった。不思議と北側よりも湿気具合がひどく、何か所か床が自然に崩れていて、そこから侵入したであろうネズミが、扉を開けるとその穴から逃げていった。親指大の幼ネズミが巣に盛りだくさんだったから、餌が豊富だったらしい。ルーシーが、「後で回収するからそのままにしておいて」と蹴散らそうとしたルーカスに釘を刺していた。聞くところによると、何かの材料に(何のかは教えてくれなかった)するらしい。

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