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第227話 ゴーストタウン(前編)

第227話 ゴーストタウン(前編)


 自転車に乗りたい。ちょっとした移動距離の速度基準がそれだから、自転車の使えそうな所だとつい早足になる。そうしていたらエンドロに忍者が何とかと冗談交じりに言われた。こういう時に君の所にも○○いるよねと言えると良いと思う。幼少の頃の教養が反映されてしまう。


 硬貨虫は大分賢く動くようになった。日本に帰ってからは放し飼いでも大丈夫かもしれない。しかし本質が分からないから、岩原さんに聞いてからの方がよいだろう。彼は今頃どこにいるのだろうか。海は渡っていないと思いたい。渡っているならアメリカにいてもらえれば会いに行ける、と考えたが連絡手段を持ち合わせていない。それがあるなら会わなくてもよいわけだ。



 3回目はメンバーがかぶった。確率的には当然のことだろう。メンバーはアフマド、ルーシー、ジェラルド、ルーカスと私で、サポーターはJJ、朝食を食べた後その6人ですぐに出発した。何回か一緒に怪奇に対応しており、パーティーや食事で話すこともあるから、割と仲良く準備を行った。


 目的地は湿地帯にあるゴーストタウンだった。ジェラルドの専門機器は当然電源がないと動かないから、荷物の殆どはそれで占められていた。本人も不便そうだった。誰と誰をどこに行かせるか、ランダムである可能性が高かったのだろう。


 途中のウォルマートで食料を多めに買いこんだ後はほとんど人や家のない、ただの道をひたすら進んでいった。JJが概要と作戦を話してからはアフマドとルーカスが雑談をしていただけで、私は窓の外を眺め、ジェラルドは目を閉じて、ルーシーは耳にイヤホンをしていた。そのときまでアメリカの風景も見慣れたというか見飽きたと思っていたが、場所が変われば景色も変わってくるもので、広々とした草原があったりするとやはり好奇心がかきたてられた。世界は広い。


 その調子で窓の外に目を向けつつ、考え事をしていたのだが、真っ先に頭に浮かんだのはルーシーのことだった。彼女は(自称)魔女という話を聞いていたからだった。前回のときは杖を持って怪奇を吹き飛ばして、何かの呪文で怪奇を昏倒させたという話だった。本人は至って普通の女性に見えるし、何かやってくれと頼めるものでもないから、自分の目で見るのが楽しみであった。今思うことだが、魔女はキリスト教的に大丈夫なのだろうか。ニュージーランドには多いと思うが。


 その流れで他のメンバーのことも考えた。アフマドはサウジだからハッサーンと同じような呪文を使うのだろうか、ルーカスは謎だが私のような何かを持っているのだろう、JJは近代的な(この言い方が合っているのかわからないが)方法で怪奇に対応している、要は鉄砲だ、弾が特殊なのだろうか、など州をまたぐまでだろうか、考えた後、今回の内容について復習をした。



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 その湿地帯にあるゴーストタウンは、かつての戦争のすぐ後にトルネードに襲われて、居住者が一度いなくなったのをきっかけに、再び人がそこに住み続けることがなくなった場所だ。それでも一旦は復興の兆しがあったらしい。


 そういう場所は大概、危ない人などの隠れ家になるか、再開発するか、観光地になるかしそうなものであるが、残念なことにそこには悪霊たちが出るというから、何をされることもなく、当時のままそっくり残っている。


 そこに出るモノは当時の人物が幽霊になったわけではなく、というか、人間だけではない。一番大きいのはそれらが混ざったモノで、不定期的に出没して、冷やかしに来た若者などがその近くの町で死ぬか、呪われるそうだ。厄介なのは、エクソシストやゴーストバスターが現れると姿を隠すことだ。さらに、段々大きくなっている(他の幽霊を取り込んでいる?)。


 夜、町に行かなければ何も起こらないということでそのまま放っておかれている。今回の依頼はそれを見つける手がかりを見つけることだ。何でも良いから取っ掛かりを見つけて、後は専門家に任せるということだ。最も、ソレ以外の悪霊は出るから防衛手段は必要なのだが。

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