怪奇要約9
怪奇要約9
アメリカに行く前の分をまとめておく。
引っ越す夢とミニチュア
場所…宍戸さんの夢(?)から行くことができるどこか(仮説)
一時期宍戸さんが見ていた夢(から行けたどこか)。私も一度巻き込まれた。全く憶えのない家にいて、何故かそこに引っ越してきたことと今自分が住んでいることが分かるというもの。どこかしらに現実離れした部分がある。さらに、ただの奇妙な夢ではないという証拠に、翌日同じ家のミニチュアが宍戸さんの家に届いた。その時取った藍風さん流のやり方は次の通り。1.宍戸さんの髪の毛を1本抜いて円形に置く。2.その中央にハチの巣を置く。3.その外側にタイピン、木製の「F」の形のブロック、重ねた白い小皿を3つ、レンズ拭き、ピンクの腰紐を並べる。4.更にその外周に細い鎖を円状に置いて、2分ほど待つ。すると、ブロックにひびが入る。終わり。
この時宍戸さんが迷い込んだところの変な部分は、塀の内側に山と川があること、大家と同居していたこと、扉が3つ連なっている子供部屋、天井まで続く狭まっていく黒ずんだ階段、洗濯機の先に入り口のある書斎、階段の上にある倉庫、動く肖像画など。
藍風さんと帰りに話したのだが、相当遠くにいる大きい何かが宍戸さんのことを好きになって、家をプレゼントしたという仮説は現実的な気がする。縮尺が違っているのが根拠の1つだ。まあ、怪奇の存在自体が現実的ではないし、メルヘンなお話でもないと思う。
敷次郎
場所…G県照井沢町の照井沢廃坑
鉱山内に住んでいる青白い顔をした、(元)鉱夫と同じ服を着ている幽霊のような妖怪のようなモノ。動きは鈍く、近くにいると足の爪が痒くなり、鳥肌が立つ。私とツァップさんが見に行ったときは食べ物をねだられた。いると知っているとゆらぐ影や死角の向こうに隠れているのではないかと不安になってくる。決して友好的な存在ではない。このときは既知の報告通りかどうか確認に行っただけで特に何もしていない。
青紫色の甲虫
場所…G県某所
ある古いアパートの一室の天井や壁にうじゃうじゃといた虫の怪奇。青紫色のソラマメ大の甲虫で、5本足。ゴミ虫のにおいがする。燻蒸タイプの駆虫薬を部屋に撒いたら死に絶えた。性質が元の生物に引っ張られていたのだと思う。
逆さおじさん
場所…T県T市山田地区
夜道を歩いていると逆立ちして追いかけてくる怪奇。手の甲を下にして足までまっすぐに伸ばした格好の逆立ちをしていた。坊主頭の痩身で、濁った瞳でよだれを垂らしていた。首を反らせていて、後頭部が背中に付いていたのが特徴的だった。あと、全裸。背中側しか見なかったから反対側はどうなっていたのか不明。後日武闘派の協会員が始末した。
天使の公衆電話
場所…L県L市の不法投棄スポット(今回は)
電話ボックスに見える怪奇で、中には黒電話が置いてある。受話器を取って、「○○さま、○○さま、教えてください」と強く念じてその名前を言うと(○○は知りたい人の名前)、その人の声で何でも質問に答える。質問の度に体力を吸い取られるが、止めるに止められず、死ぬ。あるいは止めることができてももう一度使いたくなって、そのときには消えているから、狂う。現れる場所と時間は不定期的に変わる。壊してもまたどこかに現れる。みーさんと藍風さんと一緒に対応した。ロープを張って札を吊るしたら上手い事いった。
このとき、この怪奇を使おうとした女性は何事もなくぴんぴんとしているそうだ。大事がなくて何よりだが、手間賃の1つも欲しいものだ。せめてクリーニング代くらいは。あの時放っておいても後々問題になるし、出会っただけで損をする存在だった。予測不可能な点では怪奇よりもタチが悪い。(一応、天使の公衆電話が彼女を誘引していたならば彼女もまた被害者だ。そうでなくて、噂を信じてストーキングのために来ていたのならば、あれだ。)
二本足
場所…P県P市の掟木地区
桾崎さんと一緒に対応した、夜、道や家の庭を歩いていた人間の足のような怪奇。左足と右足が人間が歩いているように動いていた。家の庭を歩かれると家主は高熱を出す。桾崎さんが九字を切って、金剛杖で叩きのめして、最後に九字を切って退治した。間に何もないのに二本の足がある程度以上離れなかったのが不思議だった。
揺れて増殖する壁
場所…N県大亀町のある借家
藍風さんと一緒に行った借家で巻き込まれた。元は夜中にその借家の中に何かが揺れているのが見える(何もないのに)というものであった。他の協会員が件の揺れているモノが見えているときに家の中に入っても何も見つからずに出ることができたが、私たちが入ったときは閉じ込められて、上記の怪奇に遭遇した。正確には別の世界の同じ借家に飛ばされたのだと思う。
現象は、(恐らく私たちが足を踏み入れると)壁が横に数枚に分割して、それぞれが主に左右に揺れて、壁間の隙間が大きくなって、壁が前後に分裂するというモノ。壁、と書いたが窓も同じように動いており、戸や襖はその動きと増殖で壊されていた。シンクに黒いサインペンで円とそこから渦巻いて出る曲線を書いて、そこに缶コーヒーの中身をかけるのがその時取った藍風さん流のやり方。それで脱出と怪奇への対応を同時に済ませた。
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書いていると日本の暑さを思い出す。始めの方に書いたことがあったときはまだ暖かいの域だったが、一気に暑いまで達したと思う。アメリカの方が気温は高いがカラッとしていて嫌にならない。(部屋が適温に保たれているからというのもある。)




