第173話 予定確認
第173話 予定確認
最近は暖かく過ごしやすい。怪奇の種類もだんだんと変わっているのが分かる。この間までいた青い紐のような怪奇(約10cmでくねくねしている、田んぼにいるアレ)や電信柱の表面を這っている怪奇(手のひら位の大きさの、動物の足跡の模様のアレ)、夜よく見かけるあの怪奇の群れ(2㎝くらいの赤黒くて丸いアレ)は見なくなった。
その代わりに、街灯に張りつくヤモリそっくりの怪奇(こちら側に姿を現している)や夜、空の高い所を飛んでいる怪奇(凧のようなアレ)をよく見かけるようになった。この辺りだけなのか、季節性なのか、たまたまなのか、さっぱり分からなかった。
図鑑があれば、どの怪奇がどの分布で、どの条件で出てくるのかがわかると思い、藍風さんやみーさんに聞いてみた。そういうものはなかった。まず、そういったとりとめもない怪奇に興味を持つ人はあまりいないこと、さらに情報は隠匿されていることが多いこと、対応の仕方に変化はないことが理由のようだ(プランクトンの種類に詳しくて顕微鏡で見て名前を言うことができても、できなくても、殺し方は同じと例えられるだろうか)。
怪奇の種類や分布を見れば他の怪奇の動向も分かるかもしれない。例えば、弱い怪奇がいない場合、強い怪奇が潜んでいる場合がある。そう考えて、少し記録をつけている。
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怪奇、怪奇と呼んでいるが、非常にざっくばらんな呼び方をしていると思う。一応妖怪、都市伝説、幽霊、悪魔、怪奇現象等々呼び分けられているが、私には違いが分からない。色々な生き物を生物と呼んでいるようなものだろうか。
怪奇の強さも気配も良くわからない。名前もないありふれたモノ、名前はないが1個体のモノ、名前があって知られているモノ、有名で1個体であるモノに区別できないだろうか。
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朝起きて、朝食を食べながらニュースを聞きつつ、協会のHPを見て受けられる依頼がないか探すのがルーチンになっている。硬貨虫の入っている水槽を覗いて餌やりと硬貨の回収をするのも忘れない。今日も例に漏れずだった。
その後は予定もなかったため勉強をした。これも覚えているようで、頭に入っていかないような気がしている。日本史は大体終わったからもう2周ほどやるとして、並行して世界史もやろう。後は宗教の勉強か。怪奇自体の勉強もしないといけない。
その後は自転車に乗って軽く体を動かした。家事や買い物を急ぎでする必要もなかった。PCをいじっていても良かったかもしれない。
昼食は前日の残り物で済ませた。その後も勉強をして、それから本を読んで時間を過ごした。途中でツァップさんから来たメッセージに返信しながら、キリの良いところまで終わらせた。
それから夕食の支度をした。適当に作っても人が食べることができるくらいのものはできていると思う。冷ましている間にスマホを見ると、藍風さんからメッセージが来ていた。
『上野さん、ゴールデンウィークに何か予定はありますか』
『今のところはありません。依頼ですか?』
『はい。何か受けようと思って探しています。もしかしたら協会から依頼されるかもしれません。一緒にやりませんか?』
ありがたい話だ。
『はい。よろしくお願いします』
『こちらこそお願いします。また何かあったら連絡します』
夕食を食べ終えた後は夜の散歩をするかネットサーフィンをするかで迷ったが、後者に決めた。買う予定はないが、ミ○プラのレビューを見た。戦隊物のを数年分辿るだけでとにかく楽しかった。クールだ。
風呂上がりに服を着るときに、触覚だけでできないかと目をつぶって挑戦したが、まず上着を履こうとして、次に下の寝間着が裏返しで、もう一度試したら前後逆だった。なかなか難しい。
風呂から上がった後は硬貨虫の様子を見つつ、明るいうちに勉強したことを振り返った。布団に入るのはいつものように寝る時間よりも前で、時間になるまでスマホを操作した。目をつぶって横になり、寝ようと意識すれば後は勝手に夢の中だった。
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