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怪奇要約7

怪奇要約7


 新年度が始まった。私が直接何かあったわけではないが、知り合いの藍風さんが中学3年生に、ツァップさんが高校2年生相当に、桾崎さんが小学6年生(だったと思う)になった。


 怪奇に関わることができていなかったら、会社に新入社員が入ってきて、また教育訓練を始めていた頃だろう。いや、その前に、嫌がらせで神経が参っていたかもしれない。それよりも、呪いを呪いと知らずに、もっと、それこそ、限界まで追い込まれていた可能性さえある。そのとき、私はどうしただろうか。藍風さんには感謝してもしきれない。


 そろそろ出会った中で印象的だった怪奇をまとめておく。



 くら虫(人面の蛇の妖怪)

 場所…C県C市の某氏の記憶の中、インクの中?


 直接見たわけではないが、みーさんと一緒に受けた依頼で出会った(?)怪奇。A大学教授が買った古本の一冊に「比呂とは単位の一つで、(以降インク汚れでかすれて読めず)」と普通の人には見えないインクで印刷されていたが、その原材料だった。ちなみに比呂は著者が作った薬物の隠語。それを摂取すればするほど、本の著者は怪奇をたくさん見ることができていたらしい。薬物はダメ、ゼッタイ。



 百物語(を続けさせる何か)

 場所…I県及武市私立及武高校


 正体不明の、百物語を続けさせようとする怪奇。春休みに娘と友達(と教師)が百物語をしようとしているのを心配した父親から依頼された。学校の教室で、本物のロウソクを消す代わりにタブレット上のロウソクをタップすることで進行していった。

 話それ自体は怖い話、おどけた話、どこかで聞いた話、etc.といかにも百物語に出て来そうなものだったが、人づてに聞いた話から自分の体験した話、過去にあった話から直近に起こった話と、段々と真実味を増していった。ただしこれらの話を語った人は話を知っているわけでも、実際に体験したわけでもないということが後々分かった。(口調も平時とは違った。)

 話者は百物語を続けるために(タブレットを押して次の人に順番を回すために)、

馬鹿力を発揮した。始めのうちはタブレットへ接近する手段が直進だけだったが、時間が経つにつれて、道沿い、迂回、集団で行動して待ち伏せと動き方に複雑さが増していった。机の上に黄色いチョークと黒いボールペンを置いて、その間にタブレット、その上に図書室のPCのマウス、その上に未開封のスナック菓子を置くのがその時取った藍風さん流のやり方。百物語を最後まで続けていたら何が起こっていただろうか。未来の話が出てきて、それが現実に起きたりしただろうか。


 その時に出た話の一部は以下の通り。


 ・人面犬…よくある話。

 ・カワハギさん…後ろからついてきて、体のどこかの皮を剥がして、傷口を舐めるおじさんの話。

 ・池から伸びる手…夜、池の傍を通ると白い手に引きずりこまれるという話。

 ・首なしの蜘蛛…その名の通りで、見たら死ぬという話。

 ・誘拐された…子供の頃、知らない子からあばら家に招かれて、逃げられなくなった話。

 ・祖父の家…子供の頃、祖父の家で昔の服を着ていた子供に風呂で押されて、玄関の前で迷子にさせられた話。

 ・林間学校…小学生の時、林間学校の夜から、クラスで女子が話していると知らない声がもう1人分、紛れ込んでいたという話。

 ・手足のない子供…中学生の頃、下校時に手足のない子供から追いかけられた話。



 春妖精

 場所…春が始まった日ならどこでも


 春が始まった日に一斉に現れて、やがて地面に沈み、翌日には消えている怪奇。体長10から15cmくらいの白い人型で、蝶のような羽が背中から生えている。目は複眼、亜麻色の髪、それ以外の口や鼻はない。目的があって動いているように見えるが、何も考えていないと思う。もしかしたら意思もないのかもしれない。春の訪れの絶対的な指標で、発生の情報は相当価値がある。生態の研究がされている。



 石製の蔓と葉

 場所…V県空柄町


 依頼者の家の、壁などの内側に沿って現れた怪奇。表の壁紙やフローリング、天井などに内側と同じ模様が移っていた。葉の形や大きさは多様で、いくつも枝分かれした蔓から生えている。石のように硬い。この依頼は途中でキャンセルされた。

 のちに、依頼者が別の能力者(怪奇の姿は見えていなかったらしい)に依頼して怪奇を消滅させた。案の定、私達が警告した通り、家は倒壊した。元々ガタが来ていた所に怪奇が蝕んでいたからだろう。結構きれいで統一感のある模様だったのに勿体ない。



 先生の幽霊(佐藤さん)

 場所…G県G市某路地


 ツァップさんと一緒に対応した幽霊。児童を庇って亡くなった。最近、急に現れて(あるいは意識が芽生えて?)、自分が行ったことの意味を知りたがっていた。褒めてほしかったのかもしれない。最後はツァップさんの言葉で救われて、そのまま天国へ行った。



 噂話

 場所…自宅近く(他の場所にも出る)


 それらしい噂話をする怪奇と、同じ相槌を打つ怪奇の2体。話の内容は全て嘘。エイプリルフールに現れることがある。姿は見えないが、甲高い女性のような声でうるさい。妙に説得力がある。



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 これからもわけのわからない体験は続き、危険を伴うこともあるだろう。しかし、あのまま会社に居続けることに比べたら、全く大したことではないと思う。

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