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第151話 東洋文化研究会(中編)

第151話 東洋文化研究会(中編)


 料理は部屋のやや中央に置かれていて、肉や揚げ物がメインだった。料理は美味しかったのだが、取りに行っている間、どうも周りの注目を集めているようで良い気分ではなかった。どこの組織に所属しているのか探られでもしているのだろうと思った。そういう点では弦間さんと来たのは正解だった。大半はそこの陰陽師の一員と勝手に思ってくれただろう。


 「ああ、いた。向こうのテーブルの隅。彼には近づかない方がいい」

 食べ物を紙皿によそって戻ってきた弦間さんが開口一番に言った。その視線の先はごく普通の見た目の小柄な30代くらいの男性がいた。


 「彼が、ですか。確かに警戒心剥き出しにしていますね」

 その割には怪我の痕がない。


 「彼はマトイだ。極めて危険な怪奇をものともしないほど強い。強いが、相手にしない方がよい」

 弦間さんは既に目線をそらして苦々しそうな顔した。


 「何かあったのでしょうか」


 「あった、というよりも能力がだね。マトイは血縁の遺骨を組み立てて武器にするんだ。仕事のときは数人分の遺骨を骨格標本のような形にして持って来て、その場で組み立てる。どうやら誰のどこの骨をどう組むかで怪奇の性質に対応しているらしい。聞いた話だが、すぐ元の形に戻さないと呪われるという」


 「そういう能力者もいるのですか」

 それくらいなら、想定の範囲内にぎりぎり収まるレベルだ。


 「それから、どれだけ傷ついても、その傷は全て他の遺骨に肩代わりさせているようだ。だからマトイには傷がない。ただ…、遺骨に魂を幽閉しているがね。一体そんな一族がどうやって繁栄しているのか…」


 (なるほど)

 魂というのがどういうものか知らないが、その魂遺骨に閉じ込めて、部品にしてばらし、傷を肩代わりさせ、将来は自分もその痛みを負うのか。更に一族の代表になれなければ、ただ死後痛みを負うだけだ。


 (つまり、そういうことか)

 一族が繁栄しているのは、使われる遺骨が十分にあるからか。どの程度遺骨が保つのか知らないが、損傷が速いなら、生産速度も速くしなければならないだろう。そうなると、たくさんつくることができて、すぐ使えるように…。



 「ああ、今飲み物を取りに行った彼女。彼女自体はそう危険ではないが、深入りは禁物だ。上野さんは気配がよく分からないんだったね」

 そこには20代くらいの女性がいた。長身で背が丸く、目が据わっている。


 「気配は分かりませんが、怖そうな見た目ではありますね」

 見ているうちに彼女は飲み物を浴びるように飲んで、すぐに食べ物をつまみに行った。


 「そんなところだ。彼女は何と言う名前だったか忘れたが、鬼残しの出だ」


 「鬼残し、ですか」


 「鬼残しは鬼に育てられる、というよりも飼育されていた人たちの呼称だ。特に何の能力もない一族の子供を何十人も一か所に集め、知性のある鬼に飼育させる。その残りだ。知り合いがワクチン接種に入ったことがあってね、洞穴にみすぼらしい毛布、不衛生な環境に押し込まれて、監視の鬼達の気分次第で殴られていたらしい。更には鬼に悪いからとアルコール消毒もしないまま注射させられたと言っていた。それで体調を崩すようなら、失格になるのだろうね」


 「失格…」


 「ああ、すみません。上野さんには婉曲的に伝える必要はなかったか。失格というのは、つまり、食われるということた。集められた子供は周期的に鬼に食われる。そうした中で、隣の子供が食べられているさまを見て、次は自分ではないかと恐怖し、鬼への憎悪を募らせ、自分以外が食われるように争って、そうして残った1人が、鬼残しだ。人肉が好きな鬼も腹が満たされる、身内以外の鬼が殺されるのは気にならないのだろう、それから一族も供物を捧げながら鬼残しを育てられるというわけだ」


 「今日日よくそんなことができていますね…」

 倫理的にも、法的にも大問題ではないだろうか。それに、現代で子供が数十人も消えたら大事件になるだろう。


 「まあ、そうしたものを秘匿するのは私達怪奇に携わるものの得意分野でもある。いつから行われているか知らないが。現に上野さんもこの間まで怪奇の存在を知らなかっただろう?それに、彼らも半分自分から好き好んで鬼残しになろうとしているから、逃げ出して居場所が漏れることもない」

 そういうものか。色々と思うことはあるが、自分がどうこうできるものではない。やりたいならやっていればよい。

ついに151話、初代ポ○モンの種類の数です!


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