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第142話 能力の調査

第142話 能力の調査


 朝、普段起きる時間の前から騒がしかった。音の出所は簡単に見つかった。硬貨虫のケースだった。未だに硬貨虫に餌の金属や石を与えるタイミングは分からない。最近は好みができたらしく、水槽に入れた物が合わないといつまでも食べないこともある。そう思っているが単に腹?が空いていないだけなのかもしれない。食べるときには食べている。しかし、朝から騒ぐことは珍しかった。案外構ってほしかっただけなのかもしれない。


 硬貨虫にクリップをあげながら頭?を撫でていた時に、その感触でピッキングした時のことを思い出した。あの時は運で開けたが、今後も同じようなことをする機会は多いだろう。硬貨虫を鍵穴に入れたらガムのように変形して錠を開けられないだろうかと思った。試しに自転車の錠を軽く押し付けてみたが、硬貨虫がもぞもぞと動いただけで鍵が開くことはなかった。そもそもそこまでの柔軟性はなかった。


 朝食後、溜まっていた家事を片付ける前に勉強をした。まだまだ奥が深く、分からないことだらけだ。自分の能力でさえも把握しきれていない。


 それから、家事を済ませて昼食にラーメンを食べた。3割引で買ったこの袋麺は少し値が張る分店のラーメンに近い味だった。協会の依頼が上手くできるようになれば、生活の質が上がってこういうものをいつも食べられるようになるのだろう。もしかしたらこの目標は低いのかもしれない。どうせならもっと高い目標、毎食高級店で外食できるくらいになる気持ちを持っていた方がよいのかもしれない。(ただやはり自分の性に合っているのは前者だ。)



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 家事も勉強も一段落した後、ネットサーフィンをしながら頭の片隅で自分の能力について考えた。要は、どこまでできるのかだ。怪奇相手になら相当五感が働くことは分かっているが、それ以外のことで依頼で使えることがないだろうかと。これまで分かっていたことに加えて、色々試してみた。


 まず、味覚について。これは、2つ食べ物があった時にどちらが甘いかなどを評価することはできる。甘さを数字にしてこの甘さはあれの何倍だとか、砂糖がどれだけ入っているだとかは分からない(大体は分かるが)。集中すれば、口にした物にそのようなものが入っているのか相当詳しくわかるが、元の味を知らなければ何なのかは分からない(つゆの出汁に魚が入っているのは分かったが、種類や産地は知らないため分からなかった)。後は、毒見ができる。


 次に嗅覚について。これは日常生活でも便利だ。一般人よりも細かくにおいを嗅ぎ取ることができている。においが混ざっていても嗅ぎ分けることができるし、方向もわかる。集中すると、一層細かく分かる。しかし、あまり感度を上げていると嫌な臭いも嗅ぎ取ってしまう。それから、人の匂いでその人の状態が分かる。ただし、嗅覚(と味覚)の判別にはリソースを使うようで、普段からやっていると疲れる。危険なものの臭いには敏感になった。


 それから、触覚について。これも日常生活で便利だ。物の表面の微妙な違いがよく分かる。温度の差や凹凸の差、他にも今まで考えもしなかった情報が一気に得られる。目を閉じていても触っただけで物が何なのかは分かるし、空気の流れでどこが温かいか(つまり、熱源の動物、人間がどこにいるか)などもわかる。ただ、具体的な数字にはできない。それから、風呂に入った時に温感を制御したら全く温かく感じずに気味の悪い感触の液体に包まれたようになった。使い道があるかは不明。


 その次は、聴覚について。これも便利で、広範囲の音を拾うことができるし、かすかな音も拾える。集中すれば、離れたところにある川の流れる音や時計の針の動く音も聞き取ることができた。ただ、大きな音が近くでしていると聞き分けるのに集中力がいる。対人で使えるのは心音、呼吸音を聞いて相手の調子を推測すること、歩行音のリズムで誰がどこにいるのか判別できることだろうか。昼間よりも夜の方が音を聞き取りやすく、夕食後に外を散歩していたらパトカーのサイレン音をいつまでも追跡できた。ただし、超音波は聞き取ることはできていない。コウモリが飛んたが羽音が聞こえるくらいだった。


 最後に、視覚について。わずかにでも光があれば普通に見えるし、色調も制御できる。集中すれば、見える範囲なら遠くまで見ることもできるし、細かいところまで見ることもできる(微生物も見ることができた)。ただし、そのまま体を動かすと視界がぶれて頭がこんがらがる。夕食後に散歩していた時、試しに月を見ていたらクレーターの陰で玉兎が数匹跳んで遊んでいたのが見えた。どこまで見えるのか、それ以上遠くの星、銀河系に知的生命体でもいないかと探してみようとしたが、ある程度行ったところで戻れなくなるような感覚が走ったため止めた。紫外線、赤外線を見ることはできない。視覚を開発できるとできることは段違いに増えると思う。電磁波などを見ることができれば面白いし、透視やサーモグラフィーも便利そうだ。



 今度誰かにこういった話に詳しい人を紹介してもらおうと思う。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回の百物語も不気味でよかったです! [一言] 更新お疲れ様です。 想像してたより主人公の能力がすごいですねw 月が見えるとかいったい限界はどこなのやら。 僕もこんな能力欲しい・・・
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