初デート
「し、島崎さん、もう来てたの」
「う、うん。てか、あ、晃子も1時間前じゃない......」
それはそうなのだ。待ち合わせの1時間前に着いているのは私だ。
先に着いて心を落ち着けたかったんだけど......。ええい!見切り発車だ!
「た、楽しみすぎてさー、私、デートとかは、初めてだったし、思わず早く来ちゃった。ハハハ......」
「そう、そうなんだ。晃子もなんだ。嬉しいな......。残念ながら私は初めてじゃないの。晃子の初デート、頑張ってエスコートするね」
うわーごめんなさい島崎さん!ほんとは、不安と緊張が勝って帰りたくなるぐらいでした!
心の中で土下座をしている私。
「晃子、私服も可愛いわ。今日の為にドレスアップしてくれたの?」
「そ、そうなんだ!......でも、店員さんに選んでもらったんだけどね......」
私は黒のブラウスに青と白のストライプのロングパンツに黒のサンダル。対象的に島崎さんは、白のワンピースに白のロングスカートに白のサンダル。麦わら帽子をかぶっていていつもと違って清純なイメージ。
はっ!誉められたんだからお返ししないと!
「島崎さん。き、綺麗」
「ふふっありがと。いつもと違って清純なイメージ出してみました」
いや、お世辞抜きで可憐だ......。しかし、清純さの中にも妖艶さを秘めていて.......。たまりませんな!
あれっ!?思考がおかしい!
「じゃ、いこっか」
島崎さん、さりげなく私の手を取って隣を歩く。うん、私もスキンシップにだいぶ慣れたものだ。緊張はするけど会わなかった時間よりは島崎さんが目の前にいるこの時の方が腹は座る。
......というか、島崎さん若干顔が赤いのは気のせいか?
水族館の中を連れて見ていく。慣れたとはいえ、やはり頭は上の空で何を喋ったのかよく覚えていない。
でも島崎さんの声は私の内に響き渡る。
「晃子、私ほんとわね。今日来るの楽しみだったけど、怖かったの......余裕のふりしてね」
「わ、私も、島崎さん!き、緊張しすぎて何回か帰ろうと思ったぐらい!」
「ふふっ。晃子が帰らないで良かった。デートでこんなに緊張したの私初めて」
「やっぱり島崎さん、デートとか初めてじゃないんだ。すごいなー、私なんて今までで一度もした事なかった」
「晃子の初デートが私なのは光栄ね。初めてが同性なのはごめんなさいね」
「と、とんでもない!島崎さん相手で.....きょ、恐縮です!」
「あはは!ありがと。でも晃子とのデートが今までで1番ドキドキするわ。私の心を1番掴んだのは貴女よ晃子」
「.......」
やっぱりあの時の......。私はたぶん生涯一熱くなってやらかしてしまった時のようだ。でも遥にとってはとても嬉しくて大事な事で......。
「嬉しかった。表面上上手くいってる友達の中、自分が本当に好きになったものに対して、晃子は否定しなかった。私の1番深いところにいる人が貴女よ」
......。嬉しいじゃないか。自分の事をここまで言ってくれた人が今まで同性、異性問わずいただろうか?いない。だから私は、腹を決めてもう一度熱くなる事を心に決めた。
「遥......」
遥の両の手のひらをゆっくりと、自分の両手で恋人つなぎにする。
距離が近い......。目の前に赤く染まった顔の遥が見える。伏し目がちだけど目線が合う。少し麦わら帽子が邪魔だ。
思考はなにもなく、遥の唇が近付いて──
続く




