帰り道
どれぐらい時間がたったのだろう。
重ね合わせたいた唇をゆっくり離す。
こぼれ落ちた遥の涙を指先でそっとぬぐい、
この永遠のような切ない一瞬が過ぎる。
「......ん」
「落ち着いた?遥」
「うん。ううん?もう晃子!またドキドキしてきたわ。好きよ。大好きよ晃子。百合小説を好きな事を黙ってくれて、肯定してくれて、私を追いかけてくれて、守ってくれて。そこいらの男子より王子様だったわ。ねえ私の事好き?好きって聞かせて......」
「......大好きだよ遥。ははっ!私もまだドキドキしてるや」
「嬉しい......。ふふっ晃子もドキドキしてるのね。それもなんだか嬉しい」
この娘の心を守れて良かった。遥の笑顔がこぼれる。いつもの調子に戻ったようだ。いや新しい関係になったのか。なんだか、無性に攻めたくなった。こんな感情は初めてだ。
「好き、好き。大好き遥。めっちゃ愛してる」
「も、もう!晃子!嬉しいけどからかうのやめてよ!わ、私はもう貴女に心を捕まれて離れないわ」
そっか。守って掴んじゃったのか遥の心。いやー責任重大だなー。
ごめん嘘。嘘じゃないけど、今それより、すっごいドキドキして楽しくて嬉しい。
「新しい秘密だね。私たち恋人になったんだよ」
「晃子......。貴女、積極的になっわね。グイグイきて押されっぱなしよ。まあ仕方ないか、私の方が落ちちゃってるものね」
「覚悟してね遥。グイグイ攻めていくから!」
ぷっ!あっはっはっはっ!
何の会話よこれ!
2人して爆笑した。
気付けば夕方だった。夕陽が目に染みたから
「今日はもう帰ろっか」
ずっとこうして笑い合いたい永遠の時間は永遠じゃなくて。私たちは帰路に着く。
帰りの電車で遥が疲れて寝てしまっていた。
肩枕をしてあげていたら、......ん。と目を覚ましちゃった。
「大丈夫、着いたら起こしてあげるよ」
眠そうな、トロンとした目で遥は言う。
「えへへ、晃子。私、貴女を好きになって良かった。貴女で良かった。貴女と会えて良かった」
「こちらこそ。私も遥と出会えなかったら、ずっと独りだったもの。私のほうこそ好きだよ。ありがとう遥」
「えへへ、幸せだな、晃子。むにゃむにゃ」
再眠りに落ちようとしている遥の顔を見つめながら、
新しい私たちの関係について想う私だった──。
続く




