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出逢い



黒板にカッ、カッ、とチョークで英語の文が書かれていく。英語の担任の男の先生が文を説明していく。それを私語もなく静かにノートに書き写していく生徒達。

その生徒の内の1人、窓側の席の後から2番目の席に町田 晃子はいた。

黙々とノートをとっていたがここで終業のチャイムがなった。一斉に教室が活気づいた。隣の席の者と喋り出す娘、友達のグループへ駆け足で移動する男子、教室を出ていく男子達。

喧騒が生まれた中、晃子は席を立たず1人カバーされた文庫本を机の中から出して開く。

毎日の慣れた動作で迷いがない。そのまま読書に移行するのが晃子の休み時間の過ごし方だった。


浮きもしなければ沈みもしない。空気の様にこのクラスに存在してはや3ヶ月。高校2年の1学期の夏を迎えようとしていた。

1年の時からずっとこの調子で、ぼっちだった。しかし、話し相手がいないだけで、いじめられたり、からかわれたりはなかった。

こうして読書をして休み時間をやり過ごすのが彼女の常だった。ラノベを浅く広く読んでいる。今日のお供は「安達としまむら」だった。

人の往来を視界の隅に入れ文章を縦から斜めへと読んでいく。いつもの日常。しかし、今日はちょっと違った。横を通っていた女生徒がバサリと本を落とした。瞬間、晃子はどんな本かチェックを入れた。落ちた衝撃で本のカバーは外れ表紙のタイトルが見える。あっ、「ガールズキングダム」だ。

落とし主の女生徒が慌てて本を拾おうとする。


目が合ったー



終わったという顔をしていたのはクラスメイトのリア充グループの確か、島崎さー


「お願い、秘密にして」


懇願するような、それでいて有無を言わせない目で囁かれた。その強い視線に

晃子はたじろぎながらもコクコクと首を縦に振る。


「ありがとうー!マジ天使!」



本を拾った中腰の態勢から一気にはね上がって、その女生徒に晃子は抱きつかれた。



「うぐぅ...く、苦しい離れて離れて」



先程の懇願するような顔から一転して破顔して、よっぽど感激したのかぎゅーとハグして離さない。



「ごめん、ごめん。こういうの嫌だった?」



晃子は、心拍数が上がった頭で答える。



「ただスキンシップが苦手なだけで...。あなたは島崎遥さん?」



「うん!えーとごめん貴女はえーと...」


「町田、町田晃子です」


「そっかー!町田さん町田晃子さんか。絡むの初めてよね、よろしく!」



笑顔で仲間の元に帰っていく島崎さんを見やって、

心臓の動悸を静めようとする晃子だった。

町田晃子と島崎遥、


これが2人の出会いだった。



続く


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