chapter.94 多階層世界の軌跡
アニメ「ゴーアルター」シリーズ22周年記念。
劇場公開用作品。
──アーク・ストレイロード、最期の戦いが始まる!
冷凍睡眠から目覚めた主人公アークの前に広がっていた光景は荒廃した都市だった。
ほとんどの生物が死滅し、生き残った僅かな人間も絶滅の危機に瀕している状況である。
だが、男はあきらめなかった。
アーク「それでも、俺は取り戻して見せる。この世界を……リイネを!」
死にゆく地球と迫り来る侵略者。
そしてアークは真実を知る……。
【劇場版GOーALTER/TRUE ROAD】
二十二世紀のゴーアルターが始まる!
2101年、春公開予定!
『前売り券を買うと、ここでしか手に入らない“シン・ゴーアルター”第零巻が貰える!!』
◆◇◆◇◆
404 NOT FOUND
お探しのページは見つかりませんでした。
◆◇◆◇◆
歩駆の視界を覆うノイズは気が付くと、何事もなかったかのように晴れ《ゴーアルター》のコクピットに戻っていた。
「…………何だ?! 今、何を見せられた?」
ほんの一瞬、意識が飛んでいた歩駆の頭に流れた、映画の予告編のような映像。
ありふれている面白味の無いキャッチフレーズの宣伝文句。
そこに出演していた人物はどことなく歩駆自身にそっくりだった。
「……歩駆! 歩駆っ!!」
「うぅっ……何だ、マモル。どうしたんだよ、俺を揺するな!」
後ろから肩を掴んで呼び掛けるマモルは心配そうに見つめていた。
「今どれぐらいボーッとしてた?」
「しっかりしてよもう! えーっと、たぶん五分ぐらいかな?」
「五分……もか」
頭の中をモヤモヤとさせながら歩駆は周囲を伺う。
青く美しかった地球の崩壊は進み《ゴーアルター》を通して何百、何千の生命体の魂が消失していくのが見える。
裏側の方の大陸で何か爆発の光が起きたのを目撃したが、歩駆は目線を反らした。
しかし、宇宙も宇宙で大変な状況に陥っている。
宇宙の裂け目から雪崩のように見たこともない姿をした擬神の出現が止まらない。
重力嵐で不安定な中、三つ巴をしていた地球、月、スフィアの残存兵力がいつの間にか力を合わせて擬神に立ち向かっている。
そして目の前では《ゴッドグレイツ》と《ゼノン》の戦闘が繰り広げられていたのだった。
「「イグナイト・フレアァァァァーッッ!!」」
紅蓮の閃光を放つ《ゴッドグレイツ》の必殺技は《ゼノン》の炸裂するも、背後から伸びる光のベールが全て受け止めダメージを無力化していた。
心なしか《ゼノン》の姿が先程よりも大きくなっている、と歩駆は感じた。
「ねぇ歩駆、ボクたちも加勢しようよ?!」
マコトが急かすが、歩駆は動かなかった。
二機の激しい攻防をただ黙って見ているだけだった。
「アイツの言うことなんてデタラメだ、何も信じなくていい!」
「……もう俺はウンザリなんだよ」
前方から《ゼノン》に吹き飛ばされた《ゴッドグレイツ》が迫る。
とっさだったが歩駆は《ゴーアルター》の巨腕で《ゴッドグレイツ》をしっかりと受け止めた。
「うぅっ……ちょっと真道君! 何さっきから棒立ちしてんのよ、彼女を助ける気あんの!?」
「わ、わかっている!!」
歩駆は《ゼノン》の額に捕らわれた礼奈の姿を見る。
項垂れる礼奈は苦しそうな表情を浮かべていた。
「どうした少年……いや、この階層の我よォ? 一瞬だけ別の少年の姿を見せたが、まァ前世界の記憶を引き継いでいるとかって訳じゃないんだなァ。君がゴーアルターに乗れるということだけが証明さァ」
不適な笑顔を見せるヤマダに歩駆は何も言い返せなかった。
「もう一つ真実を伝えるとなァ、君達が模造獣またはイミテイトと呼ぶ生命体をソウルダウトで消すことは出来ない」
「な……なんですって!? どう言うことなのよそれはっ?!」
と、マコトは声を上げる。
「アンタ、さっきから人を惑わして、デタラメなことばっか言ってんじゃないわよ!!」
「マコトちゃん落ち着いて、相手の思う壺ですよ」
カッとなっているマコトの肩を後ろから撫でて宥めるトウコ。
「でもトウコ、コイツは……」
「ウソじゃあないさァ。確かに世界はやり直すことが出来る。それは事実さァ……でもね、奴等は次元を越える力を持っている。全ての生命を根絶する為に追いかけてくるんだァ」
「じゃあ今、ここで奴等を倒してしまえばいい話でしょ!」
「それが出来たら苦労はしないんだよなァ……なんせ積み重なった世界の残留思念体、つまりは別世界の人類さァ」
「人間、あれが人だっての……?!」
マコトは宇宙の裂け目を眺める。
おぞましい魑魅魍魎の怪物たちが次々と地球へ向かっていく。
あれが元人間の成れの果てなのだとは思いたくもなかった。
「真道歩駆……君の考えてることはわかる。ゴーアルターを捨て、新たな世界を作るのは構わないさァ。だが、ゴーアルター無き世界で奴等と戦えるのかなァ?」
「……そ、それは」
「しかし今回の世界の真道歩駆は今まで出会った中でワーストさァ! 他の真道歩駆はもっと活躍していたよ?」
「うるせえッ! そんなこと俺が知るか!」
「でも、君はゴーアルターを捨てることはできない……しかしだ、君が戦いから逃れられることも無いこともないんだがなァ」
ヤマダは言うと《ゼノン》は自分の額、渚礼奈が閉じ込められているクリスタルの装飾を指差す。
「君の代わりに次の世界では彼女を“主人公”にしようと思うのだァ!」
「礼奈を……主人公に、だと?」
訳のわからないヤマダの提案に困惑する歩駆たち。
「ソウルダウトを手にした者は、次の階層で宿命を背負う」
「君はモブキャラとして生き、渚礼奈に次の世界の命運を託す。良い話だと思わないのかァ?」
「良いわけないでしょッ!!」
叫ぶマコトと《ゴッドグレイツ》が再度、ヤマダの《ゼノン》に向かう。
「何がゼロよ、何が主人公よ! 意味不明な事ばっかりさっきからクドクドと、勝手にそんなもの他人に押し付けるな!」
「仕方ないだろう……頑張った結果、自分では出来なかったのさァ……だから、疲れてしまった」
悲しげなヤマダの前に《ゴッドグレイツ》から繰り出される炎の鉄拳が迫った。
走馬灯のように甦るヤマダ──シンドウ・アルクゼロの記憶。
いつしか自分でロボットに乗って戦うよりも、端から眺めてる方が楽しい。
そう思うようになっていた。
繰り返す時の中でアルクゼロはもう一人の自分と出会ってしまった。
その時、思った。
主人公と言う役割を降りるということ。
結果、別階層の真道歩駆は皆、アルクゼロが戦っていた時よりも健闘していた。
だが、あと少し。
真の敵を倒すにはあと力が少し足りないのだ。
「そうか、お前だったのか……ゴッドグレイツ」
「なに?!」
「一人では戦えないと言うことさ。だから、君も次の世界では……」
「お断りよ! アンタの為に戦うなんて嫌だね。私は私の考えで戦う!」
「なるほど…………じゃァ、君に取って置きのプレゼントをあげようかァァーッ!」
突撃するマコトの《ゴッドグレイツ》とヤマダの《ゼノン》との間に巨大な歪みが出来る。
「くっ、何だ!? プレゼントだって?!」
「見てください、マコトちゃん……あれは“竜”でしょうか?」
「フッフッフッ、君が会いたくて仕方なかった人さァ!」
歪みに浮かぶシルエットが段々とハッキリした形になっていく。
漆黒の装甲を見に纏った鋼鉄の竜。
そして、その頭部は《ゴッドグレイツ》の全く同じデザインをしていた。
『マコト』
黒い竜の《ゴッドグレイツ》から語りかける男の声。
記憶の奥底で感じる懐かしい声。
モニターに映ったら男の顔を見て、マコトの目から自然と涙が溢れた。
「お……父さん……!」





