みんな死にました
1話1話が短いですがご了承ください。
あの日
「逃げて!賢!私達はいいから!」
家族が
「お兄ちゃん!助けてぇ!死にたくないよぉ」
俺の目の前で
「賢!早く逃げろ!!」
殺された。
「ぁ、やだ、父さん!母さん!美央!死なないで……。」
俺が言葉を紡いだ時には
みんな、みんな肉片になっていた。
いつも俺に美味しいご飯を作ってくれた母さんはもう化物の口の中で、いつも俺に遊ぼって駆け寄ってきた美央はグシャグシャで顔の判別もつかなくて、いつも家族を支えてくれてた父さんは首より上が無くなっていた。
「ぁ、ぁ、あ”あ”ああ”ああ”ああ”あ”」
無我夢中で走った。いつも犬の散歩をしてたおじさんも、ときどき夕飯とかの余り物をくれたおばさんも、俺の親友も、みんな、死んでいた。
「くそ!なんなんだよ!なにがどうなってんだよ!!」
自分の口から普段使ったこともない荒々しい言葉も出てきた。
「君!生存者か!?」
軍服姿の人に声をかけられた。ついさっきまで普通に家族と喋っていたのに、生きている人に会うのがすごい久しぶりに感じた。
「早くすぐそこの港へ行くんだ!生存者は沖縄への移動が決定されている!化物が来る前に急げ!」
その瞬間、その人の胴体は握り潰された。
「ひっ!」
俺は港に全速力で向かった。化物が軍人の人を食べているお陰で俺は殺されず港に到着することが出来た。
そのまま俺は他の生存者たちと共に沖縄に向かった。
沖縄へ着くとゆっくり頭の整理をすることが出来た。
俺の家族はもう誰ひとりとこの世にいないのだ。みんな、死んだ。そう理解したら涙が頬を伝った。
その日から俺は沖縄で支給されたアパートで1人今日までずっと引きこもり生活を送り続けた。
もうあの日から六年もたち、日本も復興に向けてあの化物……スペクターの研究を進めていた。どうらスペクターに対抗できる武器がつい1年ほど前にできたらしい。最近は高校生も駆り出されているとのこと。そこで俺は思い出した。
俺、春から高校生じゃん。
しかし、俺は中学も家で引きこもっていたため全然行ってないし、こんな役立たず戦場に駆り出すわけがない。
俺は安心して眠りについた。
次の日、あんな手紙が来るとも知らずに……。