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宇宙人の日本冒険

作者: HERON

 宇宙。それは、とても広大で、人間にとってもそこは未知数の世界である。地球なんて、宇宙にとっては小さな国のようなものだ。そんな地球にある日本に興味を持った一人の宇宙人が、宇宙船に乗り日本の中心都市である東京に上陸した。

 だが、宇宙人が宇宙船から出たときには、道路を埋め尽くすほどの人だかりができていた。


「なんだ。私をお出迎えか? ほぅ。この日本という国の生物は、中々、待遇が良いじゃないか」


 宇宙人は、そんな事を心で思いながら王様のようにゆっくりと前へ歩いていく。当然、人間みたいな姿もしていないし、喋っていることも全くこちらには伝わってこない。だが、身長はそれほど人間と変わらない。

 人間はというと、携帯で写真をとったり友達に電話したりと大騒ぎだ。数分後には、どんなライブでも敵わないであろう人が押し寄せていた。


 この状態に気づいた警察官が「何事だ!」と、人を掻き分け、人だかりの中心へ着くと、一瞬頭が真っ白になるくらい驚いた。


「な……何者だ! そうか……分かったぞ……新生物のコスプレをしておるのだな? それでこれだけの人だかりが出来ると思わず、コスプレだと言うに言えんのだな!? なら、大丈夫だ。コスプレならコスプレと言いなさい。本官が無事を保障する」


 警察官も焦っていたのか、よく分からない予想を立てていた。その宇宙人は日本語が分かるらしく警察官の質問に対し「違う。私は日本という国に興味があるだけだ」と返すが、言葉は伝わらない。悲しいものである。

 その、正に宇宙人というべき言葉に、人だかり達のテンションは「こいつは本物だぜ!」「間違いなく宇宙人よ!」と最高潮に達しようとしていた。だが、コスプレではないことを確信した警察官は、他の警察官に応援を要求して、これは捕獲しなくてはいけないということで頭がいっぱいだった。

 

 それを聞いた警察官は急いで動き出し、人だかりが多すぎてパトカーも出動できないということで少ししか人数が集まらず、少数じゃ宇宙人相手にするのは危険だろうということで、対犯罪者用の装備で出動した。


 さすが日本の警察というべきか、パトカー無しでほんの数分で人だかりの前へ到着した。その間、宇宙人は誤解を解くために、通じない言葉をずっと喋っていた。

 そして、警察官達が人だかりを掻き分け宇宙人の前へ到着すると、みんながみんな驚いた。そして、集まった警察官がひそひそと話し合った結果。とりあえず連行することに決めた。


「おっ、おい! 何すんだよやめろって!」


 宇宙人は必死に抵抗するが、警察官達には当然伝わらず、引きずられながら人だかりから姿を消し、連行するようにと無線を使いパトカーに乗った警察官を呼び、連行された。


 この事態は当然TVでも放送され、大きな話題をよんだ。これは後の話であるが、宇宙人語を研究する学者が、うさんくさい翻訳本を出したり、これが本当の宇宙人グッズも販売されたりして、一時期大ブームを巻き起こした。


 ちなみにその連行された宇宙人はというと、連行された後、どれだけ取り調べてもやっぱり言葉が分からないということで、こうなりゃ解剖してしまおうという結論になった。その言葉に危険を感じた宇宙人は、自分達の惑星で作られた最新防犯道具。ザ・ワールドを使い、時間を止めて日本から脱出したが、宇宙人は誓った。もう日本には近づかないと。


 その後、その宇宙人が自分の惑星に帰った後に書いた自伝である「日本の実態」の一部分にはこう記されている。


『日本という国をなめていたよ。科学の発達だってまだまだだし、美しさも絶対に我々の惑星のほうが美しいだろう。だが、興味心という点では我々は一歩譲らなければならない。日本の生物にとって見たことも無い私がいたというだけで、私の周りに、町一つを埋め尽くすほどの生物が集まり、同じ服装の生物が、急に理不尽な理由で私を捕まえ、言葉が分からないと言うだけで私の実態を知るために解剖しようとしたのだ。きっと新しいものには敏感な生物なのだろう。きっと今頃、私のグッズも販売されているはずだ。なぜかって? それほど興味心が強く、新しいものに敏感な生物なのだろうから。君たちも気をつけたまえ。あの生物は、新しいものとなると周りが見えなくなる生物だ。君たちも地球に行くなら変身技術でも身についた後にするべきである』


 確かに日本人は流行に敏感である。流行のものを手に入れるためなら手段を選ばないときだってある。これが宇宙人にとって唯一新鮮だったのであろう。

 ただ、これがいいことなのか悪いことなのかは分からないことではあるが……

宇宙人が日本に上陸してきたら、こんな感じになるのかなって思って書きました。実際はもっと怖がったりするのかな。

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