電話
会話が多めになっちゃったかな…。
数分後
~♪
正式に入団することとなったユキヒナに、サハラに関するあれやこれやを教えていると、いきなり何処からか音楽が流れてきた。
その曲は俺も知ってる曲で、サビの部分から流されていた。
何処から流れているのか、周囲を見回そうとするとリーフさんが、ポケットからスマホを取り出すのが分かった。
流れている曲で、誰からの電話なのかは用意に察しがつくが、一応「誰から?」と聞いてみる。
「スペード。」
案の定、リーフさんの口から出た名前は、リーフさんの1つ上の先輩さんの名前だった。
「もしもし。」
慣れたてつきで、画面をスライドして話し出す。
最初は黙って話を聞いていたようだけど、いきなり「お前、馬鹿か!」と少し強めの口調で言うと「めんどくさい。自分でどうにかしろ。」と言って通話を切った。
仮にも先輩にあたる人に…。まあ、これはいつものことだが。
「何だった?」
「それがな、今スペード達がマカさんに頼まれて、港近くの倉庫に行ってるのは知ってるだろ?」
俺は頷く。確か、月1で行われている闇市の商人の会議に、特別な武器の情報が入るから、その情報を独り占めしたいとか言ってたような…。
等のマカイさんは、自分で行かずアジトにもいないわけだが。
「そこでスペードが勝手な行動したせいで、一緒に行ったカズもろとも捕まったらしい。」
「馬鹿なの?」
「ああ、バカだ。」
思わず苦笑いになる俺とリーフさん。あの人は、単独で行動させると好き勝手することがある。その結果、任務が大成功したりはたまた助けに行くことになったり…。
臨機応変ってのはいいんだが…もう少し考えて行動してほしい。
「で、助けに来て欲しいと言うことだが…。倉庫までは遠いぞ?」
「『移す』で行くしかないかー。」
「1回使ったから、残りは2回。行きしか無理だからな。」
あ、そうだった。
「マジデ?帰リ徒歩ッスカ?」
「車でもなんでも奪えばいいだろ。運転免許持ってるんだから。」
「そんな他人事見たいに…あ、もしかしてリーフさんは行かないおつもりで?」
「ご名答。つか行けない。自分と他人に使う能力は別でカウントされるから。」
あー、そうだった。
「仕方ないかー。正直寝たいんだけどなー。」
「ほっといても大丈夫そうだけどな。」
「いやダメでしょ。能力暴走したら倉庫もろともみんな『食われちゃう』よ?」
「あのー」
あ、ユキヒナのこと忘れてた。やばいやばい。
「さっきからスペードやら助けに行くとか…何を話してるの?」
「んー、まあ、要約すると団員が2人敵に捕まっちゃって。」
「ええ、それってヤバイんじゃ?」
驚くユキヒナ。まあ普通驚くよね。
「ま、ちゃんと助けに行くんだけどね。」
俺がそう言うと、リーフさんはしぶしぶ立ち上がった。
「全く…本当に出掛けてればよかった。」
「助けに行くってどうやって…あ。」
リーフさんが立ち上がるのを見て、ユキヒナも察したようだ。
「じゃあ、ユキヒナ。最初の任務だ。頑張ろうな。」
そして俺は、リーフさんの目に視線を合わせた。