一つの想いが宿る世界 第七話 【決断の時】
-----大学・キャンパス・中庭-----
「ふああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
少女「・・・・・・」
「うぅぅ・・・」
少女「・・・・・・」
修「さっきから眠そうだな。(笑)」
「うん、昨日は・・・色々あってあまり眠れてなくて・・・」
少女「・・・・・・」
修「ふーん。それはご苦労様。」
「絶対思ってないだろ?」
修「思ってるよ。昨日の大学での件はどうせお前も絡んでるんだろ?」
「あぁ。」
修「ま、これ以上は聴かないで置くよ。お前のお隣のボディガードさんも気になるし。」
「おい、修!」
修「あぁ?悪い悪い。気に障ったなら謝るよ。」
修とたわいも無い話をしていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
女性「二人とも!」
修「ん?」
修とほぼ同時に振り返ると一人の女性の姿が会った。修と同様小学校からの幼馴染の暁 琴音だ。
琴音「私を置いて二人でどこ行くつもり?」
「い、いやぁ、久し振りにお昼でもどうかなぁ・・・と。」
少女は警戒しているのか琴音のことをじっと睨み付けていた。
琴音「そう・・・所で・・・この娘は?大学生には見えないけど。」
修「お前、和巳の話聴いてないのか?」
琴音「話?何のこと?」
修「お前は昔から疎いよな。」
琴音「う、うるさいわね!それで・・・何なのよ!」
修「和巳が新進英社に狙われてるって話だよ。」
琴音「し、新進英社って、あの過激派の?」
修「あぁ。それでこの娘がJCTから和巳の保護を命じられた警護員ってわけ。」
少女「・・・・・・」
琴音「こんな小柄な娘が!?それに和巳!何で話してくれなかったのよ!」
「い、いやぁ・・・僕的にはあまり大事になって欲しくなかったから知らせないでおいたんだけど・・・大分知られちゃったみたいだね・・・」
修「そりゃそうだろ。あんなことになっちまったんだから。」
修が指差した方向を見ると昨日放たれた銃弾を探しているのかJCTと警察の捜査員が集まっており、その中には昨日の捜査官も混じっていた。僕たちがそちらに視線を向けると同時にその捜査官も僕と少女の存在に気付いたようだ。
JCT捜査官「ん?誰かと思えば昨日の・・・」
「ど、どうも。」
JCT捜査官「こんにちわ。丁度良かった。ニーナ!こっちへ来い!」
挨拶を交わすなり、捜査官は声を荒げて少女を呼んだ。少女が捜査官の元へ行くなり並べられている捜査車両の車内へと連れて行かれた。
-----車内-----
JCT捜査官「あのあとマルタイの動きに何かあったか?」
少女「特に・・・何も・・・」
JCT捜査官「嘘はついていないんだろうな?」
少女「はい・・・」
JCT捜査官「立川は?」
少女「何もありません・・・」
JCT捜査官「分かっているだろうが・・・お前の任務は成川和巳の保護及び立川修の動向の監視だ。あいつも当局の監視対象者ということをしっかり頭に入れておけ。」
少女「・・・・・・」コクンッ
捜査官がそう言うと、少女は黙ってうなずいた。
-----大学・キャンパス・中庭------
少女「・・・・・・」
「あ、おかえり。」
少女「・・・・・・」
「何話してたのって・・・聴いたらまずいか・・・ごめんね。」
少女「・・・・・・」
「ごめんね。そろそろ帰ろうか・・・」
少女「・・・・・・」コクンッ
-----駅前・商店街-----
ここは昔から残されてる商店街。昔ながらの街の雰囲気で子供の頃からのなじみの場所でもあるせいかここに来ると自然と落ち着く。そんな時だった。丁度電気店の前を通りかかった時、臨時ニュースがやっていた。
TV「えー護送中に容疑者が逃亡した模様です。容疑者は現在も逃亡を続けており、先程テロ対策庁が公開した情報によりますと容疑者は東都南城大学を襲撃した一人でテロ対策庁・警察は情報提供を呼び掛けるとともに外出の自粛等をお願いしています。」
「逃亡ってまさか・・・」
少女「・・・・・・」