一つの想いが宿る世界 第四話 【襲撃】
僕は彼女を連れて駅を出てそのまま大学へと向かう。
「あの、もう着いたんだけど。君は・・・どうする?一緒に講義受ける?」
少女「・・・・・・」
意味が通じていないのだろうか、少女はずっと黙っている。
「あ、あのー・・・」
少女「私に与えられた任務はあなたの警護・・・」
「う、うん。分かった。一緒に受けよう。」
少女「・・・・・・」コクンッ
僅かだが小さく少女は静かに頷く。
-----大学構内・教室-----
教授「じゃあ、始めますねー。」
「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少女の容姿は案の定キャンパス内でも人の目を引き付けていた。講義中、隣で沈黙を貫く少女にとても息苦しさを覚えた。
-----大学・キャンパス・中庭-----
少女の噂は人を通じ瞬く間に広まっていき、当然学食へ連れて行くと注目を集めてしまう為、昼食は中庭でとることにした。
学生A「ねぇ、あの人って・・・?」
学生B「めっちゃ可愛いじゃん!お前ちょっと行って来いよ!」
学生C「え、でもあれ連れ居るぜ。」
中庭「ガヤ、ガヤ、ガヤ・・・」
僕らの周りには自然と人だかりが出来た。
「お、落ち着かないなぁ・・・」
少女「・・・・・・」
「ね、ねぇ・・・」
少女「・・・・・・」
「場所、変えない?」
少女「いい・・・」
「そ、そっか・・・」
少女「・・・・・・」
「君はさっきから何も食べてないけど・・・お腹空かない?」
少女「別に。」
「何か食べる?」
少女「要らない。」
「・・・・・・」
-----二十分後-----
息苦しい昼食を終え午後の講義に参加しようとした時のことだった・・・。1人の男性が僕らの隣に腰掛けた。席を立とうとした瞬間、男性が話しかけた。
男性「ねぇ。」
声のトーンは高く男性というよりは少年らしさを感じた。
「は、はい?って僕ですか?」
男性「そうだよ。」
「何でしょう?」
男性「君は神様を信じる?」
「え、あの?・・・」
男性「信じる?それとも信じない?」
僕は男性の唐突な質問に対して戸惑いつつもこう続けた。
「神・・・ですか?僕は理系の人間なので・・・あまりそういう宗教的なものは・・・。」
男性「そっか。それじゃ運命は?」
「そうですね。まだ完璧な運命という概念を裏付ける証拠が存在しなく机上の空論ということで僕は信じないんですが・・・でも、突然どうしたんですか?」
男性「ごめんね。僕は文学部二年の斜木 志朗。よろしくね理工学部一年生の成川君。」
男性「え、何で僕の名前を。」
その瞬間、少女が僕の手を引いた。
男性「逃げて・・・・・・」
「え?」
男性がそういった瞬間。一発の銃弾が僕の頬をかすった。
「ひっ・・・」
少女「伏せて!」
学生D「きゃっ・・・・・・」
学生E「え!?」
「・・・・・・」
少女がものすごい剣幕でそう叫んだ瞬間僕の体は条件反射で少女の指示通りに動いた。
少女「くっ・・・」
次の瞬間、少女の腕に一発の銃弾が放たれるのを僕は目の当たりにした。
気付いたら手には通報装置が握られており、スイッチを押していた。その瞬間たくさんの警察・JCTの車両やヘリコプターが大学構内に入ってくるのが見えた。
-----現場指揮官車・内部-----
JCT捜査官「各班!訓練どおりに行動し、マルタイの保護に努めよ!」
JCT特殊部隊長「周囲の警備を固めろ!制圧一班はマルタイの保護!狙撃支援班は突入班の周囲安全の確保。制圧二班は上空から周囲の建物の警戒及び降下しだいマルタイの安全確保に努めよ!我々の部隊のバックアップは警視庁特殊犯捜査係が担当する!」
無線「制圧一班から指揮班。」
JCT特殊部隊長「指揮班です。 どうぞ!」
無線「現在中庭中央部でうつ伏せのマルタイ確認! 身柄を保護しました。 どうぞ。」
JCT特殊部隊長「指揮班了解 周囲の状況を報告しろ! どうぞ。」
無線「了解 えー現在・・・周囲には数人の学生が居るだけ 大学構内に向かって血液の滴った後が続いている どうぞ。」
JCT捜査官「了解 マルタイ の身辺警護員は確認できるか? どうぞ」
無線「えー現在 それらしき者は確認できていない どうぞ!」
JCT特殊部隊長「了解! 証人保護の連中が回収に来るまで周囲の安全確保を怠るな! どうぞ。」
無線「えー了解しました! どうぞ。」
無線「上空から指揮班。」
JCT特殊部隊長「指揮班です。 どうぞ!」
無線「えー現在 視認できる範囲での不審人物・不審物の確認は出来ない これより上空の警戒は警察の航空隊に委託し現在時をもって航空基地に帰還します どうぞ!」
JCT特殊部隊長「指揮班了解!」
無線「制圧二班! 通信終了!」
無線「ピー ザー」