一つの想いが宿る世界 第三話 【新たな出会い】
-----19:00-----
そんなやり取りをした後彼女は僕の部屋に居た。
「何で・・・こうなった・・・」
少女「・・・・・・」
少女は黙ってジッと僕を見つめていた。そんなことでしばらくの間静寂が続いた。
「え、あのえっと・・・」
少女「・・・・・・」
「まだ・・・君のこと聞いてないんだけど。」
少女「・・・・・・」
「ええっと・・・」
少女「私が任務を遂行する上であなたに身分を明かす必要は無い・・・」
「あぁ・・・いや、でも・・・」
少女「私に与えられた任務はあなたの警護・・・。それを遂行するだけであなたとは何もつながりは無い。」
「はい・・・」
-----翌日-----
「さて・・・それではそろそろ大学に行く時間かな・・・」
僕が玄関で靴を履いていると少女は黙って僕の隣に寄り添った。
「えっと・・・学校まで・・・着いてくるよね?」
少女「お構いなく・・・」
「あ、うん。」
-----駅前-----
スピーカー「この現在世界に対し軍国主義として成り立ってしまった日本を皆様の力でなくしましょう。かつての戦争の無かった美しい母国を今取り戻すために私と一緒に立ち上がりましょう。」
「今日も、平和だなぁ・・・」
そんなことを呟いた時僕は唐突に彼女から声を掛けられた。
少女「あれは・・・何をやってるの?」
「あぁ・・・えっと・・・政治活動だよ・・・今の日本を変えようって。」
少女「政治?」
「あぁ・・・えっと簡単に説明すると国を運営することだよ。」
少女「クニ?ウンエイ?」
「本当に聞いてるの?」
少女「えぇ・・・」
「今まで学校とかは?」
少女「ガッコウ?」
「知らないの?」
少女「外の・・・世界のことは何も知らない。」
「今まで何してたの?」
少女「壁の中で・・・暮らしてた。」
「壁って・・・?」
少女「分からない・・・」
「壁の中では・・・何してたの?」
少女「・・・・・・分からない・・・・・・」
「どういうこと?」
少女「覚えて・・・ない・・・」
そう呟いた彼女は深い感情を押し殺しているように思えた。僕はこれ以上触れないでおこうと思い口を閉ざしておいた。