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友達で同士で兄弟なんです!

なんだかんだで1時間目が終了し、数学の小城先生が俺の机と椅子を取りに行ってくれている間の10分間の休み時間。

俺は今後の学校生活が灰色にならないように

するため友達作りの旅にでることにした。

まず最初のターゲットは乾さん。

席のなかった俺に椅子の半分を座らさせてくれた天使のような『男の娘』。

出来ればもっと乾さんの事を知りたいのだが

現在は自分の席で読書中のようだ。

なになに、読んでいるのは…………………

「「――俺とお前のエクスカリバーが

      交わりし時―――」」

ふむ、ファンタジーかな?

俺も小説ラノベとか好きだし本の話とかで盛り上がれそうだな。

しかし今は読書中だし、邪魔をしたら好感度が下がる可能性がある。

幸い、机が届いても席は乾さんの隣に決定したしチャンスはまだある。名残惜しいが彼女?については今は焦らなくてもいいだろう。

さて、それではお次のターゲットは…

「カキカキカキカキカキカキカキ…ケシケシ……カキカキカキカキカキ」

なんか凄い書いてるやつがいる。

あいつは授業中もノートを必死に書いてた

丸眼鏡の男子生徒だ。その容姿と態度から恐らくガリ勉タイプだろう。あまり好きなタイプではないがテストとかいざの時に助けてくれる頭の良い奴は居てくれると非常に心強い。

勉強の邪魔をするかもしれないが挨拶だけでもしておこう。

「やぁちょっといいかな?」

「カキカキカキカキカキカキカキ」

「………………………。」

「カキカキカキカキカキカキカキ…ケシケシ…カキカキカキカキカキカキカキ」

「やぁちょっといいかな?」

「カキカキカキカキカキカキカキ…うーん…カキカキカキカキカキ」

「…………おい眼鏡」

「殺すぞ」

「聞こえてるじゃねぇないか!!」

「ん?誰だ君は?初めて見る顔だな」

「転校生の木上だ!1時間目に自己紹介をしただろ!」

「あぁ、すまない聞いてないし見てもない」

「――マジかよ」

こいつあんだけ大きな声で橋本と言い争ってた(実際は一方的な口撃)のに聞こえてなかったと言うのか。

「僕の悪い癖なんだ。一度集中するとなかなか戻ってこれないんだ」

そういって丸眼鏡はノートを指差す。

「ん?そういえば何を書いてたんだ?」

先ほどは隠れて見えなかったノートを覗き見ると

「こ、これは!?」

美少女。

ノートには美少女が書かれて、否、描かれていた!!

そして俺はその娘を知っていた!!

「こ、この娘は愛ちゃん!?」

そこに描かれていたのはラブリーガールというアニメの主人公の愛ちゃんだったのだ!!

「ほぅ、愛ちゃんを知っているのか?」

「あたりまえじゃないか!今一番可愛いヒロインで有名な愛ちゃんだぞ!!知らない奴なんて俺は知らない!!」

「ふっ、まさか俺ほどのファンと会えるとはな」

「おい、丸眼

「僕の名前は釜井 健二かまいけんじだ」

「そうか、じゃぁ釜井って呼んで良いか?」

「なにをそんな他人行儀な。志を同じくする者同士なんだ、健二でいいさ」

シニカルな笑みを浮かべながら健二が拳を俺に差し出す。

「かま、いや健二!わかった俺の事も亮と読んでくれ!!」

「あぁ亮!俺達は今日から兄弟だ!!」

「おお!!」

お互いの拳をぶつけ合い、笑顔を交わす。

こうして愛ちゃんを架け橋に俺は最初の友達を作ることに成功したのだ。


「――あっ、健二くんと亮くん?あぁあんなに近くに顔を!!そんな私が本を読んでいる間にそんな仲に!?………ハァハァこれは強大な恋敵の誕生ね!……………でもあの組み合わせ、見てるだけでも…ハァハァ」


「木上君、お待たせ君の机と椅子だよ」

その後も健二と愛ちゃんについて熱く語っていると小城先生がやってきた。

「あっ、すいません。ありがとうございます。」

「いや問題ないよ。その様子だともう友達になったのかな?」

「いえ、兄弟です」

「は?」

健二が訂正するがどうやら先生には意味がわからなかったようだ。

「いえ、こっちの話です」

「そ、そうかい?」

「亮、それで愛ちゃんの魅力についてだが」

「ん?あ、あぁ俺としては―――」

「あっ、ちょっと待ってくれまだ話があるんだ」

健二と愛ちゃん議論を続けようとしたら先生からストップがかかった。

「え、まだ何かありるんですか?」

「いや、ただ忘れないようにもう一度伝えとこうと思ってな」

「なにかありました?」

思い当たる節はない。何かあっただろうか?

「職員室には放課後来てくれよ」

「はい????」

「自己紹介の時のあの発言について詳しく聞かせてほしいからね。担任の先生と私と君で少し早い三者面談だ。」

あ、あれか!!

「先生!あれは俺じゃありません!!兄弟も聞いていただろ!!」

「すまない兄弟…。俺は聞いていなかったんだ…」

そうだったーーーーー!!!!!

「じゃ、必ず来るように」

「あっ!待って先生!待ってーー!!」

俺の必死な叫びは先生には届かず、スタスタと去っていく先生。

「すまない兄弟。俺が絵を描いていなければ…」

心底申し訳なさそうに謝ってくれる健二。

だが

「いや悪いのは健二じゃないよ…。悪いのは真犯人だ」

そうだ。受かれてる場合じゃない。俺の自己紹介の妨害をした真犯人を探さないと!

「兄弟!!」

「どうした兄弟?」

「俺の自己紹介を妨害した真犯人を探すの手伝ってくれないか!!」

真犯人を探すにしても1人では限界がある。

転校生でこの学校の事を知らない俺なら、なおのことだ。

健二が手伝ってくれたら心強い。

「兄弟……。喜んで手伝わせてもらおう」

「あ、ありがとう!」

そうこうする間に10分間の休み時間終了のチャイムが鳴った。

次の休みにまた話をする約束をして健二と別れる。

「―――絶対に犯人を突き止めてやる!」

決意を胸に愛しの乾さんの隣へと向かうのだった。





「絶対に犯人を突き止めてやる…か。

突き止めてみな、そしたら……………」

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