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妖
小さい頃から。父さんは僕によく話してくれた。
「いいかい久。この村はな、昔から妖様に守られているんだ。だから私達はこうして平和に生活をすることが出来ているんだ」
その話を聞くたびに僕は。
「父さん。妖なんて居ないよ。だって僕見たこと無いもん」
なんて無邪気に反論していた。
あれから何年経っただろうか。僕も今では中学生。父さんも歳を取ってしまった。
そんな今でも、父さんは昔を懐かしむように妖の話をしている。
僕がその話を聞く事は無くなった。だってそうだろう? 妖なんてのは非科学的だ。昔みたいに反論するきも起きない。
……それでも。僕は信じていたのかもしれない。心の奥底で、妖が僕達を守ってくれているのだと――――
初めて伝奇物を書きます。至らぬ点もあると思いますが、よろしくお願いします。