99.番組の再開・新たなオファー
-ぷっぷっぷーーーん。
-ハイ、エブリワン!
-お昼休みのひと時を、わたくしDJタロがお邪魔しまーす!
-取材旅行の間、番組が恋しかったよ!!
-それじゃあ。”タロのハッピー・昼タイム”始まるよ!
嬉しい事に、リスナーの皆さんは僕の番組をちゃんと覚えていてくれたようだ。
閲覧室にも数人の姿が見えていた。うれしい。
-今日は嬉しいことに観覧リスナーさんも来てくれてます。楽しんでくださいね!
-それでは、早速リクエストにお答えして♪
-One more time,One more chance(山崎まさよし)-
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僕は久しぶりのDJブースを眺めて、ほっと一息ついた。
やっぱりここは落ち着くのだ。
ミキサーのvoice用トラックがOFFになっている事を確認して、椅子を回転させる。
閲覧室から覗く観覧者に微笑んで手を振る。
・・・観覧していたのは超常現象研究会の面々であった。
猫山さんが窓越しにホワイトボードを掲げる。
”楽しい”と書かれていた。
(僕はこの人が大好きだ)
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放送が終わり、僕は猫山さんに相談した。ツヨシの事を。
僕達の取材旅行が放映された数日後、N.A.事務局からオファーの連絡が入った事。
オファーの内容は、僕とツヨシをバラエティ番組で取り上げたいと言うものだった。
(ツヨシ本人は迷っているらしく、僕にまかせるとタジマは言っていた。)
話を聞いた猫山さんは感慨深げに腕を組む。
「ツヨシに会いましょう」と猫山さんが言う。
そうして僕達はツヨシに会いに行くことにしたのだ。
「さっき流れた曲、いい曲でしたな」 猫山さんが嬉しそうに言う。
「夕陽を思い浮かべましたわい」(山崎まさよしの唄を連想しているのだ)
僕は頷く。そして微笑む。
僕達はまさに夕焼けの街を歩いていたのだ。