94.取材旅行39(帰路の途中)
-帰路の途中-
驚いたことに僕達は、各局の取材に応じる事となった。
「取材車で編集した素材は、N.A.本部のサーバへ随時送信され、メディアへと配信されていたのです」
とはタジマの説明である。(ツヨシは頷き、僕と猫山さんはぽかんと聞いていた)
タジマは帰路の間に、各テレビ局やラジオ局からの番組取材に向けて綿密なスケジュールを組んでいた。
帰路の合間に立ち寄るサービスエリアで逆取材を受け付けることにしたのだ。
そうして大した数の取材オファーが既に舞い込んでいた。
(タロが以前に手がけたCMやホタルの森でのイベント実績は業界で注目されていたようだ)
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サービスエリアの一画で僕達はローカルテレビの取材に応じる。
ADが差し出すホワイトボードに合わせて僕は話す。(”旅行の一部始終を話してください”と指示される)
(3,2,1・・・キュー!)
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-僕達の取材旅行。
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-広島の”猫守村”を探しあてた僕達は、”鷹”に導かれて”猫森村”へ辿り着いたのです。
-導かれた先で目にした「人語を解する猫ちゃん」
-それは都市伝説とは違って素朴な人々に安心して飼われた猫ちゃんの姿でした。
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エレーンや長老達の不思議な真実は残念ながら収録から外したものの、僕達の取材内容は十分な話題性をもってマスメディアに取り上げられ始めていたらしい。
(猫山さんがサービスエリアの売店から買ってきた新聞で、僕達は取材旅行が話題となっている事を改めて実感した)
結果を聞いてしまえば「なーんだ」で終わる。それは大衆もわかっているのだ。
行き着くまでの冒険の過程が話題を生むのである。
だからメディアは僕の「夢の啓示」にスポットを当てたのだ。
-”DJタロと不思議な冒険”-
それが取材旅行の呼び名となったのだ。
実在の地名その他が出てきますが、細部は作者の創作です