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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第三章
81/123

81.取材旅行26(長老1)


 ふぉっふぉっ、と笑う老人。

彼は自分が”長老”だと言った。


 僕はひとまず長老にお茶を出し、タジマと猫山さんを起こしたのだ。


 「いや、すみません。寝坊してしまいました」とタジマさん。(彼の寝坊は生まれて初めてだと言う)

「わしもです」と猫山さん。(彼はいつもの事である)



 キャビンにみんなが揃ったところで、僕たちは長老に自己紹介をした。


挨拶を受けては、ふぉっふぉっと長老は笑う。

長くてふわふわした髭がその度に揺れる。


 長老は笑顔でみんなを見回した。

「守りの村と森の村」と長老がゆっくりと口を開いた。


 そうして長老のお話は始まったのだ。


---


 「わしが長老じゃよ」

長老はゆっくりとした口調でそう話す。


「わたしらの村はのぅ、普通の人には見つからんようになっとるんじゃ」

ゆっくりと熱いお茶をすすり、ゆっくりと腰にひっかけたタオルで口を拭く。

(タオルには潮原温泉のロゴが入っている)


「聞きたいことがたくさんあります。どこから聞けばいいですか?」と僕はみんなを代表して問いかけた。


「まあまあ、あせらんでええけぇ」

そう僕を諭すと再びお茶を飲み始める長老。


「この土地はどうじゃね。肌に合いましたかの?」

そう言いつつ長老はゆっくりと立ち上がる。

非常にゆっくりとした動作でキャビンの窓辺へ移動する


長老のために僕は窓を開ける。

開かれた窓からはきらきらと輝く太陽が差し込み、思わず僕たちは目を瞑る。


「エレーンを紹介しちゃるけぇね」太陽を背にした長老は杖をまっすぐに掲げた。

さらに太陽光は強くなる。僕たちは眩しくて顔を覆う。

しばらくの後、光は収まる。


「エレーン。さあ挨拶しんちゃい」

長老がそう言うと、彼の背中から一匹のネコが姿を現した。

その猫はゴロゴロと喉を鳴らし、長老の顔に身体を擦り付けては甘える。


かわいい。


 「こんにちは」と僕は怖がらせないようにお辞儀をした。


猫は長老に身体を預けたまま、しばらく僕を見つめた。(喉のゴロゴロは聞こえなくなっていた)



 『あんたがタロちゃん?』



 僕たちは口が聞けなかった。


猫がしゃべるのを初めて見たのだ。


挿絵(By みてみん)


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