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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第三章
75/123

75.取材旅行20(下山)


 ツヨシが構えるビデオカメラに向かって

僕はその小屋で起こった不思議な出来事を説明した。


「こんな話は聞いた事がない」

猫山さんがしきりに唸る。(興奮しているようだ)


 僕たちは一通りの収録を終え、急いで取材車に戻ることにした。

僕が不思議な体験をしていた間、ツヨシはビデオカメラを構えたままだったからだ。

もしかして何かが映っているのでは、と考えたのだ。

(その間の記憶は誰もないようである。彼らにとっては一瞬の空白だったらしい)


 「この村の風景、どこかで見た事があると思ったんです」とタジマが言う。


「遥か昔、日本の村はこんな風景でした。私の故郷でも手付かずの廃村がいくつかありました。それで懐かしい感じがしたんですね」


「あぁ、確かにそうですわい」猫山さんも頷く。

「不思議なのは、ここの涼しさですな。水辺が近くにあると思ったんですが・・・」

そういいつつ帰り支度を放り出して、猫山さんは他の小屋を調べ始めた。


 「怖かった?」僕を見上げてツヨシが聞く。

ツヨシはいつの間にか僕に心を許したようである。

「ううん、怖くはなかったよ」僕はツヨシの頭をなでながら答える。


鷹は僕を守護してくれるのだ。それが感覚的に理解できたのだ。

そうツヨシに話すと、彼は安心したようだった。



 「見つけましたぞっ!」猫山さんが大声を上げている。

僕たちは猫山さんのもとへ駆け寄った。


 一番簡素な造りの小屋の中で、猫山さんの指し示す先にあったもの。

それは、こんこんと沸き続ける湧き水であった。

天然の水道として利用されていたようである。


 水は透明でとても綺麗だった。


 「やはり隠れ里だったんでしょうかな」猫山さんがためらいもなく水をすくって飲む。

「うまい!!」

それをきっかけに僕たちも水を飲んでみた。とても美味しい。


 空になっていた水筒を湧き水で満たし、僕たちは歩き始めた。


---


そうして僕たちは来た道を辿り、再び冠山から下山したのだ。



取材車に帰り着いたら何を食べようか。


青い空に浮かんだ雲を見つけて、僕たちは議論する。


あの雲は「カレーライス」だとか、「ハンバーグ」に違いないとか。

意外と「チキンライス」かもしれないとか。

(猫山さんは"ステーキ"を連呼していた)


その会議は下山を終えるまで続くこととなった。



 広島なら「お好み焼き」だろうと僕は思うのだけどね。



挿絵(By みてみん)


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