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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第三章
68/123

68.取材旅行13(緊急会議)



 にぼし。


僕がお墓参りの後で、最初に口にした言葉だ。


僕は少し混乱していたのだ。



 タジマは助手席に座ったところで僕に聞いたのだ。墓地で何かあったのかと。


そうして僕は話したのだ。一瞬の間に見た幻を。

夢の啓示を。


-”猫守村”でなく、”猫森村”-

鷹はそう伝えたのだ。



 「面白い」とタジマが顔を輝かせた、ように見えた。

(なにしろ表情に乏しいから一見怒っているようにも見えるからだ)


「車を停めましょう。あそこの空き地でいいです」

少し興奮気味のタジマに急かされて僕は停車する。


 そのようにして、キャビンで緊急会議が始まった。



何事かと集まったみんなに、僕は墓地で起こった出来事を説明した。


僕が説明を終えて、しばらくの間、誰も口を開かなかった。


車のすぐそばでたくさんの鳥たちがさえずる。

近くで川のせせらぎも聞こえる。


ごほん、と咳をしたのは猫山さんだ。(いつの間にかサングラスをかけている)

「”鷹”の夢を見たのは今回が初めてですか?」


以前にも見たことがあると言うと、猫山さんはサングラス越しに眼光を光らせた。

「タロさん、それ、非常に大事なことです」

そして僕は、以前見た夢の啓示を説明したのだ。(詳しくは40話「CM製作1(夢の掲示)」にて)


「行きましょう、タロさん。鷹の語る啓示の通りに。

そしてツヨシ君、あなたは今の話をイメージ映像に何パターンかまとめてみてください。

イメージはタロさんから直接聞き取ること。

それから、ここからはタロさんを時々収録して下さい。いいですね」


サングラスをかけた猫山さんは本当に頼もしいのだ。


猫山さんの指示の下に、ツヨシが僕とタジマの間に座った。

時折ビデオカメラで録画をするのだ。

(ドキュメンタリーとして必要だと猫山さんが力説した)


 そうして、僕たちは車を進めたのだ。

広島市と山県郡千代田町との境、「猫の七継ぎ松」に向けて。

そして峠から冠山を望むのだ。


進むにつれ、山間を流れる川が遥か下に見え隠れしていた。


僕たちの車の進む音だけが山間に響く。



山の空気が濃くなったように感じた。


運転席の窓を全開にして、僕は深呼吸をする。

ツヨシとタジマも大きく息を吸う。



大丈夫だよ。そう僕が言うと、ツヨシが小さく頷いた。



「猫の七継ぎ松」は近いのだ。


挿絵(By みてみん)


文中のお話は全てフィクションです。

実在の地名も出てきますが、細部は筆者の空想です。

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