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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第三章
66/123

66.取材旅行11(寄り道)

 高速道路が広島に入り、しばらく走った時。


 タジマが次の出口で一般道に降りて欲しいと言った。

大切な用事があるようだ。


”庄原インター”で僕は高速道路を降りた。


一般道路に入ると懐かしい田舎の匂いが鼻をくすぐった。


「そこを右に曲がってください」タジマは淡々と指示をする。

何か機嫌を損ねるようなことを言ったのだろうか。

タジマは道順だけを指示する。先ほどまでの軽口もない。


「あの・・・」信号で停車したところで、僕は聞いてみる。

「僕、何か失礼な事を言いました?」


タジマは首を振る。

そして信号を指差す。青になっていた。


やがて、山間のとても寂れた山の中腹でトラックを停めた。

タジマの指示である。


「タロさんに黙っていた事があります」

タジマが言う。


「何も言わずに車を降りて下さい」


僕がトラックから降りると、タジマは牽引しているキャビンに入ってゆく。


僕は道中の会話を思い返す。旅行以前の出来事も。

何も悪いことはしてないんだけどなあ。


---


やがてタジマがキャビンから出てくる。

その後からみんなが続く。


みんなが笑っている。

僕は立ち尽くす。


猫山さんが、僕に花を手渡す。

タジマが・・・線香を手渡す。


僕は辺りを改めて見渡した。


なつかしい。


たくさんの鳥が歌い、草花が生い茂る坂道を、僕は走った。



 登り道の頂上から見えたのは、小さな墓地であった。



 取材車が僕を追い越して墓地へ向う。


道の狭間に流れる湧き水から蝶が飛び立つ。

空気が肺に染み渡る。


僕は墓地に向って歩いた。

両親の眠るお墓に向って。



僕が取材車に追いついた時、タジマが笑顔を向けた。

「せっかくですから」


---


 「どうして知ってるの?」僕はタジマに聞く。父と母のお墓に花を手向けながら。


「出発前にちらっと聞いたんですよ。マコさんから」タジマが頭を下げる。

「隠しててすいません。広島にお墓があると伺って、そこから私が調べちゃいました」


それだけの情報から僕の両親の墓まで調べられるのか。

そのほうが僕にはびっくりだったよ。


なんにせよ、久しぶりのお墓参りである。

僕はありがたく墓前に向ったのだ。



 目を瞑り、両親のお墓に手を合わせた時だった。


突然視界が暗くなり、目が回るような感覚が襲う。


それは突然に起こったのだ。


挿絵(By みてみん)


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