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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第三章
64/123

64.取材旅行9(タロの運転)

 朝を迎えたサービスエリアはなんだか清々しい。


きりっとした空気と広い空。


人工的な建造物は大自然に包まれていると、ここでは感じる。


 僕たちは寝巻き代わりのジャージ姿で並んで歯磨きをしている。

大きなあくびをしているのはツヨシと猫山さん。(緑と黄色のジャージが眩しい)

タジマはジャージでさえかっこいい。(真っ黒な死神のようだ)


僕のジャージはマコさんのお見立てである。(学校指定でよく見る青なんて。。。)



そうしてみんなの朝食を作るのだ。青いジャージで。(決して林間学校ではない!)


 炊きたてのご飯。溶いた卵。

お好みでめんつゆ・醤油。ふりかけには「ゆかり」。

かりっと焼いたベーコン。

熱々の味噌汁。


テーブルに並べる始めるとツヨシのあくびが止まった。


朝からみんなが食欲旺盛なのは旅先だからだろうか。

いつもは朝飯を抜くことも多いと言うツヨシですら、がつがつと食べてくれたのだ。


---


 食事から1時間の後、僕たちは再び出発した。


 2時間後に止まったサービスエリアで僕は提案する。

タジマだけに長時間運転をさせる事は無理があると思ったのだ。


交代で運転しないかと提案したのだ。


「タロさん、お気遣いありがとうございます。ただ、牽引免許が必要なので・・・」

「僕の義理の父は帝国運輸の父なんです。仕事柄、大型トレーラーまで仕込まれてるんですよ」

そう言って僕が免許証を見せると、タジマが目を丸くした。(たぶん、驚いたのだろう)


助かります!とタジマが喜ぶ顔を見て、もっと早く気がつけばよかったなと改めて思った。


それでも心配するタジマは次のサービスエリアまで助手席に座るという。



 「タロさん」助手席でタジマが言う。

「あなた、相当運転が上手いです」


「義父に仕込まれたんです、車は生き物だって」僕がそう言うとタジマが頷く。


「気持ちよく走らせてあげると喜ぶんですって。鳥みたいに飛ぶんですよ」



同じ車だと思えない、そう言ってタジマが感心する。


曲を聴いてもいいかと僕が訊ねると、ぜひ聴きたいとタジマが言う。


-When a Man Loves a Woman(男が女を愛する時) -Art Garfunkel


夜にしか聴いたことがなかったが、明るい高速道路で聞くこの曲は、なぜだかしっくりと聞こえた。


気がつくと、タジマが寝息を立てていた。


僕は静かにハンドルを操作する。


アートガーファンクルと共に。


挿絵(By みてみん)


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