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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第三章
62/123

62.取材旅行7(ディナー)

 編集作業を見届けた僕たちは、キャビンに移動した。


 「タロさん、食事を作りましょう!」タジマが言う。

材料は?と聞く僕に、タジマはキッチン下の収納を開けて見せてくれた。


そこにはお店が開けそうなくらいの食材が揃っていた。

驚くことに、収納ボックスの幾つかは冷蔵/冷凍まで出来ている。

床下には冷蔵庫があるらしい。(タジマが特注だと説明する)

どおりでキッチンが広いわけである。


みんなにリクエストはあるかと聞いてみる。ただしメニューを絞るよと。(ここはレストランではないのだ)

そして真剣な会議が始まった。


ツヨシとタジマと猫山さんが真剣に意見を投げ合う様は、

いかにもまっとうな職場の風景であるが、実は食べたいメニュー選びをしているだけなのだ。


やがてツヨシが代表して、ホワイトボードを持ってきた。

頭上にボードを掲げる。


”ステーキ”


大きなホワイトボードに大きく書かれたその文字が裁判の「勝訴」を連想させる。


いいだろう。

大きく頷く僕を見て、ツヨシがタジマと猫山に笑顔を向ける。(ガッツポーズまで)


---


 お米は専用の鍋で炊くことにした。(ガスコンロで炊くごはん釜は意外と簡単でうまいのだ)


冷蔵されたステーキ肉をフォークで穴をたくさん開け、筋を切り、包丁の柄で叩く。

胡椒をまんべんなくかけて30分放置する。


ソースを幾つか作ることにした。

ソース1:油にニンニクスライスを香りたつまで揚げて取り出し、醤油とみりんと大目の砂糖と胡椒で仕上げる。

ソース2:バターを溶かして醤油に摩り下ろしたニンニクを一煮立ち。

ソース3:酢と砂糖と醤油と摩り下ろしたしょうがを一煮立ち。


フライパンにオリーブ油をスライスにんにくで揚げ、にんにくを取り出し、常温に戻った肉を強火で焼く。

かりっと焼き目がついたら酒を回しいれる。その後、裏返す。

再び酒を入れ、中火でしばらく焼いて完成。


僕の調理の間にはタジマがサラダと味噌汁を作ってくれていた。


ごはんが十分に蒸らされたところで食事の時間だ。



 「できましたよ!」そう叫んだ瞬間、キッチンに飛び込んでくるツヨシと猫山さん。

とてもお腹が空いているのだ。


キャビンのテーブルに並ぶ料理に向って僕たちは手を合わせる。

「いたーだきまーす!!」


肉とサラダと味噌汁が、僕たちの空腹を幸せで満たして行った。


おいしい食事はみんなを笑顔に、饒舌にしてくれるようだった。


 「あなたの料理、好きなんです」

タジマがそう言うと、猫山さんも頷く。頬張りすぎて言葉が出ないらしい。


「僕も好き」ツヨシが遠慮がちにつぶやく。


たくさん食べろよ、と僕はツヨシに言う。


僕たちは家族のようだな、と僕は思ったのだ。


挿絵(By みてみん)


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