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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第二章
54/123

54.猫山さんと小さなギャング3

 会長の家には、やはりタジマがいた。

意外と暇なんだな、この人。


タジマはみんなと既に面識があるらしい。

「会長からメールがあったので、食材は揃ってます」


着くなり僕はエプロンを受け取る。

おぉ、腕が鳴るよ。


「ツヨシ君は玉ねぎが嫌いなんです」タジマが悲しそうにつぶやく。


どうやら、玉ねぎと長ネギは嫌いらしい。歯ごたえが嫌なのだそうだ。博多ネギだけは好きらしい。


 僕は中華なべを温め、ゴマ油とサラダ油でにんにく・しょうがを炒める。

そしてひき肉を加えて炒め始めると、居間からみんなの合唱が聞こえてきた。

-ごはん!ごはん!

-マーボ!マーボ!


声援を背負い、豆板醤を加えて炒める。

鶏ガラスープと味噌、しょうゆ、砂糖を加えてタレを作る。

もしかして、と思って「こんぶ茶ってあります?」と聞いてみる。

…既にタジマがふたを開けて準備していた。


昆布茶を加えた(味の〇よりもうまみが出るのだ)タレを加えて沸騰させ、大きめに切った豆腐を加えて、片栗粉でさらに煮る。

そして、博多ネギを加えて出来上がり。


ちなみに今回の汁物はタジマ特性の豚汁である。


---


 居間で待機していたみんなの熱い声援に答えて、うやうやしく差し出したマーボ豆腐。


「いたーだきまーす!!」

みんなガツガツと食べてくれる。うれしいっ。


ツヨシまでがみんなに負けず箸を進めている。


「実に酒がうまいですな。しかしマーボもうまい」そういう会長は酒よりもごはんが進んでいるようだ。

タジマも頷く。ツヨシもだ。猫山さんも。


「わたしも取材旅行に着いていきたいですわ」会長は残念そうにそういう。

「ツヨシ君を心配してるんですね」僕は言う。


ツヨシが箸を置き、会長に向き直る。

「心配いらないよ。叔父貴」


そういうツヨシに僕は危うい雰囲気を感じる。

気のせいだろうか?


縁側から、秋の虫たちが鳴いていた。


挿絵(By みてみん)


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