表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第二章
53/123

53.猫山さんと小さなギャング2

 「タロさん、今回のオファーは取材旅行です」


ラジオ局の応接室に移動した僕たちに、叔父さんが説明を始める。


「こちらの猫山社長さんが同行されます」

よろしくお願いします、と小さく会釈をする猫山さん。

こちらこそよろしくお願いしますと頭を下げる。


「それでな、アシスタント役としてツヨシを連れて行ってやってくれまいかな」

え?


会長の言葉に叔父さんと僕は言葉を失った。


「責任はわたしがとります。あなたたちはこいつを煮るなり焼くなり好きにすればよろしい」

会長はツヨシ君の頭をごしごしとなでながらそう言ったのだ。


会長は言葉を続ける。

「こいつは訳ありでな。学校に行きたがらんのだわ。まあすこーし変わっとる。

動物の気持ちが分かるらしいな。人間は好かんそうだ」

そのかわり天才なんだよと会長は目を細める。


 学校はどうするんです、と僕たちは心配する。

「それはまあいい。社会へ出るまでに何を学ぶのかをこいつなりに考えておる」


これも流れだ、と会長が言う。

ツヨシ君が力強くうなづく。

小さな体をせいいっぱい反らせながら。


本気か?

そう問いかける僕に、無言でうなずくツヨシを見て、僕は承諾したのだ。


「それでなあ、タロさん」と会長が珍しく言葉を濁す。


「あんたの料理をツヨシにも食べさせたいんだがなあ」


何が食べたい?

僕は小さなアシスタントに聞いてみた。


「…麻婆豆腐」とツヨシが言った。こいつはしゃべれるのだな。


みんなが飲み込むつばの音が僕には聞こえた。


 そうして僕たちは会長の家に向ったのだ。

取材旅行の打ち合わせと、美味しい食事を目指して。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ