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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第二章
44/123

44.トラック運転手の奇跡

 「なんで終わっちゃうかなあ」


ヒゲで覆われた顔をなでながら、男はつぶやいた。


 トラックの運転席からは高速道路がいつまでも続いている。

深夜にもかかわらず、たくさんのトラックが列をなして走っている。

深夜の長距離運転中、彼は欠かさずタロの番組を聞いていたのだ。


 イベント、見たかったなあ。

タバコに火をつけて男はつぶやいた。


-ゲンちゃん、いるかぁ?


車内に無線の音声が響く。

斉藤のじい様だ。


「おう、いるよ」

マイクを掴んで答える。


-つまらなそうじゃねえか。んあ?


「まあな。サイトーさんはどこよ。今」


じい様は福岡に向うところだそうな。

ちょうどすれ違うあたりだな。


対向車線がちょうど近づく場所に、俺たちはいるらしい。


「めずらしいな。サイトーさん。合図してみようか」

-おう。チャンスだな。


 俺はトラックの電飾を光らせる。辺りはクリスマスのように輝く。

外から眺めるトラックは、さながら輝く深海魚のようだろう。

ほどなく、向かいの車線からクラゲのような電飾が輝いた。

窓を開けてこぶしを振り上げる。

じい様のこぶしも少しだけ見えた。


一瞬で終わるイベント。

俺たちのラッキーイベント。

トラッカーの神様が微笑んだ証なのだ。


-じゃあなっ。相棒!

じい様は福岡に向う。俺は東京に向う。



 ”DJタロ”の深夜放送。

好きだったのになあ。


 しかし数日後、彼は再び窓からこぶしを振り上げる。

タロの昼番組への進出を喜んだのだ。


挿絵(By みてみん)





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