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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第二章
36/123

36.マコとの休日2

 駅前では既にマコさんが待っていた。

遠くからでも彼女の姿は目立っていた。なんだかキラキラとして見えるのだ。


僕は両手を振って合図しながらマコさんに駆け寄った。


「待った?」

「ううん。ちょうど着いたところ」


彼女が話すたびにいい香りがする。

「いい匂い」僕がそう言うと、彼女は首をかしげた。


「マコさんのにおい。なんでいい匂いなの?」鼻を近づける僕。

「なんにもつけてないよ」そう言いながら、なぜかマコさんは嬉しそうだった。


「さて、マコさん」僕はいい香りのするマコさんに聞いてみた。

「ランチの買出しに行きたい。何が食べたい?」


 結局その場では思いつかなくて、スーパーで食材を見つつ考えることになった。

(僕も考えてなかった)


駅から程近いスーパーに二人で歩きながら、僕は空を仰ぐ。

マコさんも見上げる。そして微笑む。

「いい空だねえ」真っ青な空が広がっていた。


僕らは手を繋いだ。


---


 雲ひとつない青空の下を歩いて僕らはスーパーに入った。

ショッピングカートを押し、棚を一つずつ吟味する。


 色鮮やかな野菜が並ぶ。

つやつやしたトマト。青々としたきゅうり。瑞々しいキャベツ。

メニューを決めかねたまま僕らはのんびりと歩いた。


自然と手をつないだ僕らは夫婦に見えたのだろうか、試食コーナーを通りかかるとエプロン姿の店員が声をかける。

「奥さん、ちょっと食べてって。ほら、旦那さんもね」

タコさんウインナーを僕らは食べた。

「うむ、ウインナーうまいですな」会長のマネをする僕にマコさんはくすくすと笑った。


僕はその口調のまま、いくつもの食材を吟味した。

「夏だからこそ、逆に鍋もありじゃのう。ぎゃくに」

「豚ちゃんのしょうが焼きもうまいけぇね」

ふざけすぎて会長からかけ離れてしまったりして。


結局、僕たちはパスタにした。

挽肉は合挽きで。玉ねぎ、セロリ、ホールトマト、鷹のつめ、ケチャップ、にんにく、オリーブオイル、モツァレラチーズ、生クリーム…



 スーパーから僕のマンションまで、僕らは手を繋ぎお互いにスーパーの袋を提げて歩いた。


マコさんはとても嬉しそうで、それが僕をくすぐったい気持ちにさせてくれた。


 以前はお互いに東京にいたのに、この土地で始めて一緒に歩いている。

その事実がうれしかった。


マコさんの手は暖かかったよ。


挿絵(By みてみん)




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