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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第二章
30/123

30.番組改編

ここから第二章です。


-ぷっぷっぷーーーん。

-ハイ、エブリワン!

-良い子はみんな夢の中。

-でも眠れないあなたには、今夜も僕がお相手を。

-”タロと今夜も眠らない番組”始まるよ!

-今日は熱い盛り上がりで幕を閉じた”ホタルの森”イベントの一部始終をダイジェストでお送りします!

-その前に、当番組の放送時間が来週から変更されることをお知らせいたします。

-早いもので3年以上も放送を続けてきました”タロと今夜も眠らない番組”ですが

-これもひとえにリスナーの皆様に愛されて続けることができたんだなあと、日々感謝の毎日でした。

-リスナーのみんなが大好きです!

-そこで・・・(ジャーン)今回の番組改編で、昼の12時から放送されることとなりました。(拍手)

-月曜から金曜まで、昼の12時から3時間の放送は”タロのハッピー・昼タイム”が始まります。

-今まで以上に精進しますので、皆様の応援をお待ちしています!

-さあ、それでは今夜のスペシャル放送をお楽しみください!


 ダイジェスト放送なので、今夜は流しっぱなしで時間があった。

マコさんからのメールに返事を書いているところで、ブースをノックする音。


入ってきたのはおじさん(マキとマコの親父さんのおじさんで局の役員)だった。

おじさんは放送に支障がないことを確認するとおもむろに話し始めた。


 イベントが始まる前、そのリスクを指摘したおじさんだったが、実は”ナリタ”の理解者だったらしい。

全面的にイベントを受け入れ、早い時期から事業提携を受け入れていたのだ。

僕にネガティブな情報を見せたのは「テスト」だったのだと彼は言う。

本物を見抜ける資質が、この先何よりも必要となるのだそうだ。


 「試すような真似をして申し訳ない」

おじさんが頭を下げる。


「今回のイベントは、この先の事業提携を進める上で

 重要なプロットとなるポイントだったのです。

 タロさんの資質が本物でなければ、そらぞらしく薄っぺらいお祭りにしかならないからです。

 会長の想いが本物であるからこそ、負の時代を払拭できなければならなかったのです。

 『あぁ、裏を返せばヤクザがきれいごとを言っていただけなんだ』

 などと指したがる団体が待ち構えているからです」


叔父さんはそう説明すると分厚い書類を差し出した。


 ”Narita’s Project”



「後でよく読んで理解していただきたい。あなたがキーマンなのですから」


分厚い書類をぽんぽんと叩いた叔父さんは、なんだかさっぱりとした表情でブースを後にした。


 どうやら僕の人生は変わりつつあるようだ。


挿絵(By みてみん)


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