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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第一章
26/123

26.マコ転職2(2000年.春)

 叔父から示された面接会場は仕事場から程近い場所にあった。


仕事の帰りに新橋から少し歩いて辿り着いた会場は入るのが躊躇われるほどに豪華で瀟洒だった。

正直に言えばビビッた。ちょっとちびったわ。

会場に上がるエレベータに乗るために専用の受付へ記帳する。

エレベータが専用会場に止まり、フロアに進む。

目の前に東京タワーが見える。とても大きい。

これが東京なんだと改めて認識する。


フロア左手の受付(また受付!)で履歴書と業務経歴書を預けて待合用のソファに身を沈める。


程よく離れたソファにはおそらく同じ目的の人々が所在なげに座っている。


一生懸命に携帯電話で話している人。

髪型が気になるのかずっと手鏡を覗いてる人。

東京タワーをぼうっと見つめる人。


フロアのどこかから室内楽が小さく流れている。


 やがて、奥のフロアに通ずるドアが開かれ、一人ずつ名前が呼ばれた。

五人目が私の番だった。



 通された面接席に促された私は緊張して座った。


「やあ。緊張してますな」

ふくよかな表情のその人が”ナリタ”会長さんだった。


会長さんの面接はとても変わっていた。

「あなたのことについて話してください。なんでもいいです」

そういうと会長さんは両手を組んであごにのせる。わたしの言葉を待っている。


 商社OLの毎日をわたしは語り、促されるまま趣味を語った。

ラジオリスナーとしてのくだりを話したところで、会長はにっこりと微笑んで言った。

「採用だ」

”もし”もなく、”ただし”もなく、”よかったら”もなく。


 そうしてわたしは転職を決めた。


挿絵(By みてみん)


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