22.イベント当日2
-レディース&ジェントルメン!
-ようこそ”ホタルの森”と”DJタロと夜空のハーモニー”へ!!
大型モニターに映し出され、次々と姿を変えて行くイメージ映像とDJブースの僕。
少し照れくさいな。
始まりの曲は -10cc。"I'm not in love"-
レーザー光線がステージを彩り、森の一角が異質な雰囲気に包まれた。
スノーマシンから人工的な雪が空を舞う。
瞬間、爆発音と共に音楽が止み、暗転するステージ。森の鳥が一斉に飛び立った。
やがて重奏低音が持ち上がる。
ステージに降り注ぐ光の粒は星屑のようだ。
次の曲は -PRAISE。”イージー・ウェイ・アウト”-
神秘的な音が辺りを包み、聴く人を魅了する。
タロにMIXされる自然の音たちが体に染み込んでゆく。
水面に落ちる水滴の音が、リズムに乗る。レーザー光線が合わせて踊る。
ぽちゃんっと響き渡るそのサウンドが天然のトランスを生む。
川のせせらぎが横切る。水面のきらめきが舞台背景にプロジェクターから投影される。
水しぶきの映像と音がはじけ、舞台にダンサーが舞う。
弾ける様に踊るFingerPlayダンサーズ。
パウロの切れの良いラップから高まるグルーブ感。
舞台背景に蝶々が飛び交うと、夕焼け空へと映像が変化する。
曲は -グローバー・ワシントンJr.&Bill Withers。”Just The Two Of Us”-
”メロウでスイート”僕達のステージ。
徐々にステージは暗くなり、やがて全ての照明が消える。
ざわめく会場。
-本日はご来場ありがとうございます。
-私達のステージ、楽しんでいただければうれしいです。
-このステージの模様はそのまま今夜のラジオでも放送します。どうぞよろしく。
-さて、なぜここで照明を落としたのか?
-それが今夜の会場にお招きした答えです。
-
-みなさん。辺りをよく見つめてください。
-これが”ホタルの森”です。
-
来場した人たちが辺りを見つめる。やがて聞こえるため息。そして歓声。拍手。
暗闇の森に、無数のホタルが舞い踊っていた。
”ホタルの森”
しばらくの後、ステージの背景にはホタルに呼応するかのように無数の星が投影された。
みんな気づいていた。
ステージの映像はやがて、頭上に果てしなく広がる本物の星空へと繋がっていた。
彩りを増し、”Just The Two Of Us”が天高く響き渡る。
ホタルと星空のコラボレーションに誰もが息を呑んでいた。