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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第一章
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2.マコ(東京)

-ぷっぷっぷーーーん。

-ハイ、エブリワン!

-良い子はみんな夢の中。

-でも眠れないあなたには、今夜も僕がお相手を。

-”タロと今夜も眠らない番組”始まるよ!



 「あぶない。聞き逃すところだったわ。

せっかく定時に帰れるはずだったのに、ロッカー室を出たところで課長につかまるなんて、なんであたしがお酌しなくちゃなんないのよ、もう!

…まあ間に合ったからいいか」



 あたしがこの番組を見つけたのは、全くの偶然だった。


 1997年12月。去年のクリスマス。


 イブからデートの予約をしていたはずの彼とささいな事からいいあいになったまま、結局クリスマスはひとりぼっちでワインをちびちびと飲んで過ごしていた。


こんな日に限って仕事は暇だったし、友人はみんな出かけていた。


テレビをつけることもなく2本目のワインを飲み始めて、音楽でも聴こうかとステレオのスイッチをONにした。


以前使った時にラジオを点けていたようで、ザーっと砂嵐の音が部屋に響いた。

音量が大きいことにびっくりし、あわててチャンネルを切り替える。


偶然止まったチャンネルだったが、気にせずそのまま流していた。


”タロと今夜も眠らない番組”そう紹介された放送は、どうやら東京の局ではないらしい。


ナットキングコール。「ザ・クリスマス・ソング」


部屋の温度が少し暖かく感じた。


ノイズ混じりのその古い歌声は、私の部屋で優しく響いていた。


パーソナリティは"タロ"というらしい。

なんだか犬みたいだわ。


 タロはそのようにして私のDJとなったのだ。

本人はそんなこと夢にも思っていないだろうけれど。


いつのまにか窓の外にはちらほらと雪が舞い始めていた。


挿絵(By みてみん)


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