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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第四章
122/123

122.N.A.新年会2 ~エンディング~


 「みなさん、本日はお招きに預かりありがとうございます」

タロちゃんがそう言って挨拶を始めた。

(左手に金ぴかマイクを握っている)


「さあ、ナリタ会長に鏡開きをお願いしたいと思います」


会場が暗くなり、スポットライトに照らされてナリタ会長が現れる。

会長はみんなに一礼し、飾り付けられた樽酒に向かった。

鳴り響くドラムロールとともに木槌を高く振り上げる。


派手に割られた樽から日本酒が飛び散り、みんなで拍手を贈る。



「今日は来てくれてありがとう、タロさん」

そう言って会長がタロちゃんと握手をする。


「みなさん、わたしはN.A.事務局の今後について常日頃から考えておったんです」 と会長が言葉を続けた。

いつもはふざけた感じの会長が、真剣な顔を見せた事で、わたし達は一斉に緊張する。


「これまでの我々は、正しき流れを模索して来ました。皆さんを抱える企業として、人として。

しかしながら一つ、欠けていたわけですな」

そう言って会長は一呼吸置いた。


「それは何かとわたしは考えて、ようやく思い至ったのです。

確かな想いを伝える”力”を。

強くて暖かく自分の言葉で表現できる”力”。

それは企業理念と成りえると思い至ったのです」 

会長がタロちゃんを振り返る。


「・・・タロさん。あなたに一つだけ伺いたい。

あなたにとって最も大切な事はなんですかな?」


タロちゃんが答える

「僕にとっては愛です。僕にはそれしかない」


「さすがですな、タロさん。

あなたの中に全ての答えがあったのです。

是非これからも、我々を導いてくれますかな?」

そう言うと、会長がタロちゃんを抱きしめた。


照れくさそうなタロさんは「喜んで!」とまるで居酒屋店員のように相槌を打った。

会場のみんなが笑い、声援と拍手を贈った。


-この素晴らしき世界(What a Wonderful World)-Louis Armstrong


しゃがれた(けれど暖かい)歌声が会場に満ちる。


鳴り止まない拍手が、会長とタロちゃんを包んでいた。



---



 それは、わたしたちのストーリー。


宇宙旅行はまだ夢の時代だけれど、わたしたちは日常というストーリーを紡ぎ続けている。


タロちゃん。

あなたのいるこの世界が大好き。



挿絵(By みてみん)


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