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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第四章
117/123

117.都市伝説・エレーンの噂


 『タロちゃん、今日は何時に帰るの?』

エレーンがそう聞いてきたのは、僕が仕事に向おうと玄関で靴を履いている時だった。


どうしたの?と僕は聞いてみる。


エレーンは身体をぺろぺろと舐めて毛づくろいを繰り返す。

(何か言いだし辛いらしい)


僕は靴を履き終えてエレーンに向き直る。

エレーンは『えっとね』と伏せ目がちに口ごもる。


『友達が来たがってるのよ』 エレーンはそう言うと、再び毛づくろいを再開した。


僕は「いいとも、ぜひ連れておいでよ」と言い、エレーンにウインクする。

エレーンは「ありがとう」と言いながら僕の肩に飛び乗る。僕の耳をがしがしと齧る。

よほど嬉しかったらしい。


 そうして僕は仕事に向ったのだ。(忘れられそうだが、僕はラジオDJなのだ)


---


 僕はラジオ番組の放送中、いささか困った事になっていた。


リスナーさんの間で、”化け猫”都市伝説が話題となっていたのだ。


-わたしが聞いたのは、空中から突然降ってくる悪魔のような様相の化け猫です。

-わたしは悪魔の呪文をささやく化け猫の話だわ。その言葉を聞くと発狂しちゃうらしいの。

-僕が聞いたのは、夜道で電柱の影からおじいさんが出てきて、化け猫に変化する話です。

-自分は、口が耳まで裂けた化け猫がいると聞きました。

-俺が見たのは、電柱に這わせたケーブル線を伝って歩くネコです。言葉を話しました。かわいかったですよ。


おそらく、最後のリスナーさん(ケーブル工事士)のは本物だろう。(エレーンが僕に話した内容と同じだからだ)


 僕はみんなのお便りを読みながら、「都市伝説ってそんなものですよね」と締めくくった。


-それでは最後はリクエストにお答えして


MyAll -MariahCarey-


僕はミキサーのvoice用トラックがOFFになっている事を確認すると、大きくため息をついた。


 帰ったらエレーンに注意を促そう、と僕は決意する。

(しかし、電線の上でかわいく会話するエレーンを思うと、その決意も揺らぐのだ)


挿絵(By みてみん)


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