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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第四章
112/123

112.護身術5(伝授(前半))


 その日、僕は家中の窓の雨戸を閉めた。


ツヨシの護身術体得は大詰めを迎えるのだ。



 「タロちゃんが護身術に詳しいとは意外だったわね」 エレーンがしっぽを揺らしてマコさんにつぶやく。

エレーンとマコさんは見学すると言って、キッチンに仲良く座っていた。

(僕のいない間に、彼女達はとても仲良くなっていたのだ)


 「タロちゃんたら可笑しいのよ」とマコさんが言う。

「この間なんて、寝言で『もう少し食べたいよぉ』って言ってたのよ。悲しそうな顔で」

エレーンとマコさんは顔を見合わせてくすくすと笑う。

いいだろう。今度は寝言でモノマネでもしてやろう。


---


 ぴんぽん、とチャイムを鳴らしてツヨシがやって来る。

胸を反らして、鼻息も荒くやって来る。


 エレーンの髭がピンと張る。(ツヨシの気迫を感じたのだ)


「師匠!よろしくお願いします!」

部屋にツヨシの叫び声が響き、驚いたエレーンのしっぽが太くなる。


「見違えちゃったわ」とマコさんがツヨシを見て言う。

(小学生には見えない、と僕に言う)


 「師匠。今日は最終試練でしたよね。僕、何でもやります!」

実にかわいい弟子である。


---


 僕は部屋の電気を全て消す。

キッチンのテーブルにはローソクが灯っている。


窓からの光も遮断した部屋の中で、僕はツヨシに説明した。


 「大切なのは感覚だよ。五感を失って初めて全てを理解できるんだ。

僕はとてもゆっくりと攻撃をする。最初はまったくわからないだろう。

しかし、怖がる事はない。やがて相手の動きが見える時がくる。

僕の場合は白いモヤのように見えたよ」

そんな風に僕は説明をした。


「目標は」と僕は言う。

「僕を倒すことだよ」

そして僕は静かにツヨシを見つめた。


 薄明かりに照らされたツヨシの横顔が引き締まる。



僕はアイマスクでツヨシの目を覆い、湿らせたティッシュで耳を塞ぐ。

「変な感じ」とツヨシがささやく。



始め!とエレーンが叫ぶ。(そのように頼んでおいたのだ。僕の居場所を隠すために)



僕はそっとツヨシから離れる。

(ツヨシは少し怯えている)



 そして最後の試練は始まった。


ローソクがゆらりと揺らめいた。


挿絵(By みてみん)


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