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106.ツヨシの家7・大掃除
恐怖の一夜が終わりを告げた。
もうツヨシの家からは、あの不気味さを感じなかった。
早速僕達は、近所の金物屋から掃除道具を買い揃える。
ゴミ袋に軍手を持ち、路地から小道に向けてツヨシがゴミを集めていく。
僕は後から残りの落ち葉を吐き集める。
猫山さんが家の敷地のゴミを拾い、雑草を抜いて行く。
小奇麗になった庭の真ん中で落ち葉を積み上げ、焚き火の準備をする。
家の中の古くなった電球を取替え、ホコリを掃除機で吸い取り、ゴミをまとめる。
洗濯機を洗い、洗濯物を洗い、家中に雑巾をかけ、窓を洗う。
ベランダで布団と洗濯物を干す。
家の中が昼の日差しに明るく輝く。
窓のサッシがキラキラと光り始める。
見上げた空に、美しい虹が掛かっている。
庭の落ち葉を取り囲んだ僕達は、少し興奮気味に焚き火を始めた。
猫山さんが、サツマイモを三本持ってくる。焼き芋だ!とツヨシが笑う。
秋の香りをサツマイモの香りとして僕達は祝った。
一人一本のサツマイモ。
それはとても甘くて美味しかったのだ。