101.ツヨシの家2
ツヨシは言う。
この家、そして路地からの小道にかけて。
幽霊が出るのだと。
-(以下はツヨシの語った内容である)-
自室で眠るツヨシの耳に、それは聞こえる。
毎晩、路地から小道に向けて何かを擦り付けるような音が響く。
ざ・・・、ざざ、さー・・・
音は少しずつ、本当に少しずつ近づいてくる。
ヴぅぅ、あ゛・・・
それは擦り付ける音と共にうめき声も伴う。
やがて、玄関のカギが”ガチャン”と鳴る。
ドアが開かれる音はしない。
気のせいなのかと思う。
やがて玄関の内側であの音が響く。
ざ・・・さー・・・
その音は少しずつ移動するのだ。
やがてツヨシの耳にはキーンという音が聞こえる。
次第にその音は大きくなる。
ずりずりと布を地面に擦り付ける音が階段を上り始める。
ツヨシは息を詰めてガマンする。
やがて音はツヨシの耳の中に突然入ってくる。頭の中にその”音”がこだまする。
音は『ぎょーーー』ととんでもなく大きなノイズに変化する。(悲鳴にも似ている)
そこでツヨシは気絶する。
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そりゃあ怖いだろう、と僕は言った。
「よっしゃ」と猫山さんが腕をまくる。
・・・猫山さんの腕には鳥肌が立っている。(怖がりなのだ)
「家というのは、楽しくなきゃならん」 震えながら猫山さんが言う。(僕とツヨシは密かに微笑む)
なんにせよ、ツヨシの不安をなんとかしたいなと僕と猫山さんは思ったのだ。
そのようにして、僕達は”ユーレイ退治”を決意したのだ。
まずは、腹を満たそう。全てはそこからである。
僕達は近くのレストランへ移動することにしたのだ。