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タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第一章
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1.プロローグ

初めての投稿です。心の描写が出来ていたならうれしいです。

 1998年・夏

 部屋の窓から僕は見つめていた。

少し肌寒い空気を頬に感じる明け方の町並みを。


 数時間前までは月明かりに照らされた山肌だけが、うっすらとその存在を示していたが、徐々に町並みが呼吸を始めるように、

少しずつ辺りから霧が晴れて行く。


やがて鳥がさえずり、それを合図にしたかのように朝日が僕の部屋を照らし出してゆく。


きっといつもの新聞配達員が、道の向こうからカブに乗って朝刊を届けにくるだろう。


向かいの家から、あの巨大な目覚ましが鳴り響き、隣の飼い犬が抗議の声を上げるだろう。


 いつも思うのだけれど、僕はこの狭間の時間帯が好きだ。

なぜか切ないこの時間が。


たぶんそれは今の仕事も関係していると思う。

世間と正反対の時間に起きて、正反対の時間に就寝する事が関係していると思うのだ。




 みんながすやすやと眠りについているであろう

そんな時間に、僕は一日の仕事を終える。


コンビニで買った数本のビールとお弁当を助手席に乗せ、途中で借りてきたCDを聞きつつ僕はいつもの道をゆっくりと運転する。


(ジャンルは限定せず気になった時に借りるのだけど、意外と好みのアルバムである場合が多いのだ)


仕事場から家までの帰路はだいたい1時間くらい。


長い峠道に差し掛かるので、自然にのんびりと運転する。


都市部から峠道を挟んでいることもあり、虫の鳴き声を除けば辺りは静かでのどかである。



 今日もそのようにして帰宅した。


あまり広くないマンション内に僕の靴音だけがコツコツと響く。


月明かりもぼんやりとしているためか辺りはほの暗いが、大家さんの奇抜な趣味が反映された建物のおかげで、暗いままでも怖くはない。

(壁がリゾートカラーでカラフルなのだ)


かちりと小気味良い音を立てて鍵を開け、部屋に入る。


下駄箱の上に脱ぎ捨ててあった部屋着に着替えながら、車で流していたCDを聞き直す。


明日はこの曲がいいかな。

ノートを取り出し、「なつかしい」の欄にこりこりと書き込む。

(僕はえんぴつが好きだ)


-ザ・クリスマス・ソング(ナットキングコール)-


古臭いと言われるのを承知で、何かというと彼の曲を選んでしまうのだ。

たとえそれがリスナーの少ない深夜DJだとしても。


挿絵(By みてみん)



初投稿から12年経ちました。

全体的な構成はそのままに、拙い表現を見直しました。

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